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平成9年度事業報告(概要)
出典:大商ニュース 98年8月5日号

●【平成9年度事業報告】大阪の『都市格』向上へ


大商は平成9度、会員の皆様のご協力を得て、(1)企業の基盤強化と活力の増進 (2)地域魅力の向上(3)世界各国・地域との連携強化など、「都市格」の向上に 向けた多彩な事業を展開してまいりました。
 この年、4月の消費税率アップなどに伴う内需不振に加え、夏以降のアジア経済混 乱、さらに金融システム不安により、国内景気は一段と後退色を強めた一方、橋本内 閣が取り組む行政改革、財政構造改革など6大改革がクローズアップされました。そ こで景気対策、貸し渋り対策、税制改正などを政府に要望、その結果、2兆円の特別 減税や16兆円にのぼる総合経済対策が打ち出されるなどの措置が取られました。
 一方、2008年オリンピックの大阪招致を目指し、「大阪オリンピック招致推進 協議会」とともに東京でのPR活動や招致活動に全力をあげたところ、国内候補都市 に大阪が選定されました。また「欧州集客都市調査団」を派遣し、その成果を盛り込 み、大商が実践する観光振興アクション・プログラムを策定しました。
 さらに共済事業やPL団体保険制度、がん保険制度の普及、健康開発事業の実施な ど、会員企業への各種サービス事業の一層の充実に努めました。

◎企業の基盤強化と活力の増進を支援

【経営安定化の支援】
 貸し渋り対策として、公的融資制度の紹介と個別相談会からなる「公的融資フェア」 を2月に開催した。412社、477人が参加、個別相談件数は238件にのぼった。

【新企業・新産業おこし】
 中堅・中小企業の新分野への進出・後継者難の問題の解決に資するため、4月から 「企業名匿名方式による非公開企業のM&A市場」を創設した。また、中小企業の福 祉分野への進出を支援するため、「福祉産業フォーラム・大阪98」を2月に開催し た。
 さらに、国内外のベンチャー企業が自社のビジネスプランを発表し、技術・販売・ 資金などの提携先を求めて商談会を行う「アジア太平洋ベンチャー(APV)97」 を10月23・24日に開催。3回目となる今回は内外34社がビジネスプランを発 表した。
 3月には国内版のビジネスプラン発表会「ベンチャービジネス・フォーラム98」 を開催。18社がプラン発表を行った。
 このほか、「新規開業支援センター」による開業相談に加え、新たに4月から近畿 商工会議所連合会で「ベンチャービジネス支援センター」を開設し、近畿69会議所 とネットワークを組んでベンチャービジネスの経営全般にわたる支援を行った。

【製造業の活性化】
 中堅・中小企業と技術系学生との交流をめざす「ロボリンピア97」を10月に開 催。技術系学生102チーム・535人による手づくりロボットの技が競われた。ま た大学研究室と中小企業との交流を図るための「カレッジフェア97」や中堅・中小 企業の若手研究者・技術者に技術開発のヒントを与える「大商ハイテクノスクール」 を開いた。

【環境問題への対応】

 「地球温暖化防止対策研究会」を6月に設置し、地球温暖化防止に向けた企業行動 ガイド「5アクション プラス1」を10月に取りまとめ、同ガイドのPRもかねて、 「環境問題シンポジウム」を開催した。
 さらに、前年に引き続き、大阪における廃プラスチックの望ましいリサイクルシス テムの具体策について検討を重ねた。

【流通業活性化と情報化促進】

 「天神橋筋商店街」「九条地域商店街」を取り上げて、商店街振興モデル事業計画 を策定したほか、小売業活性化セミナー、物流セミナーなどを開催。
 デザイン・ファッションの振興のために「アジア・ファッション・フォーラム」 「大阪コレクション」「トータルファッションフェア98」を開催した。
 企業の情報化支援については、流通業向けのネットワークサービス「大商VAN」 の普及に努めた。11月には、マルチメディア産業振興のために「ビジュアルウェア 普及促進研究会」を設置、「バーチャル・インキュベータ構想」をとりまとめ、平成 10年度に事業化するとしたほか、3月には「第1回マルチメディアコンテンツOS AKAフェスティバル」を開催した。

【人材確保と育成】
 5・7・9月に中小企業の採用を支援する「大商就職フェア」を開催。参加企業は のべ401社、来場学生数は4600人を超えた。11月には会員事業主から推薦の あった従業員467人を「優良商工従業員」として表彰したほか、能力開発・人材育 成に関する各種の講座を開講した。

【小規模企業の振興】
 小規模企業に対し、金融・税務・経営などの経営指導や経営改善講習会などを実施。 11月には「いきいきおおさか・中小企業フェスタ97」を開催。ユニークな製品を 開発した92社が参加、商談件数は990件にのぼった。


◎世界各国・地域との連携の強化めざす

【G−BOC開催】

 12年目を迎えた世界ビジネス・コンベンション(G−BOC97)を10月20 日から3日間にわたり開催。海外33カ国・地域から742人のビジネスマンを迎え、 個別商談会・シンポジウム・国別セミナーなどを開いた。
 今回は、わが国中小企業の国際化をアウトソーシングにより支援するため、わが国 初の「国際ビジネス支援プラザ」を開催するなど、多くの参加者のニーズにかなうプ ログラムの拡充に努めた。

【国際ビジネス交流の拡大】

 在阪企業の経営者や経営幹部に大阪、関西のPRや、外国企業、政府機関などの誘 致活動を海外で展開してもらう「大商ビジネス・アンバサダー」制度を9月に発足さ せた。また、地域経済の国際化推進に資するため、「対日投資促進策に関する調査」 を実施し、その結果を踏まえて「外国企業の対日投資促進策についての提言」を1月 にとりまとめた。

【APEC・CACCI地域との連携強化】
 アジア太平洋地域の連携を強化するため、APECビジネス諮問委員会の活動を支 援したことに加え、大西会頭が会長を務めるアジア商工会議所連合会(CACCI) の会員拡大や平成10年9月に大阪で開催される「ダイナミック・アジア(アジア中 小企業見本市)への出展勧誘に協力した。CACCIへは、ネパール、カンボジア、 モンゴルの加入があり、その結果21カ国・地域の加盟となった。

【国際理解のさらなる促進】
 関西財界訪中代表団、欧州経済使節団の派遣や、「第2回関西/西部カナダ・ビジ ネスフォーラム」の開催、北東イングランド商工会議所との事業提携などを行い、各 国経済の現状把握やビジネス環境についての相互理解などを深めた。  留学生との交流に関しては、2月に「留学生里親事業20周年記念式典」を開催し、 同事業の拡充を通じて交流促進をはかった。また、外国人研修生を日本人家庭に招待 するホームビジット・プログラムを実施した。
 環日本海経済圏構想研究会では、今後の動向が注目されている北朝鮮から羅津・先 鋒自由経済貿易地帯投資促進ミッションを迎えての懇談会や、極東ロシア地域の最新 経済事情に関する講演会を開いた。


◎政策提言と要望活動

<主な要望活動>

 5月・政府系中小企業金融機関の改革に関する要望
 6月・中小企業対策に関する要望
 7月・日本開発銀行の見直しに関する要望
 9月・税制改正に関する要望
    ・第2次橋本改造内閣への要望
12月・大店法の現行堅持についての要望
 2月・外国人技能労働者の雇用に関する要望
 3月・行政改革の推進についての要望
    ・経済対策に関する要望
    ・貸し渋りの解消に対する要望


【景気対策に関する要望】
 景気回復と構造改革の促進に向け、政府に景気対策、貸し渋り対策、中小企業対策、 税制改正などを要望した。大阪府商工会議所連合会が10月に開催した中小企業対策 大阪大会に協力し、中小企業対策予算の確保などの決議を建議した。その結果、2兆 円の特別減税の実施、中小企業金融機関の金利減免措置の延長、法人税の基本税率や 中小企業の軽減税率の引き下げ、法人事業税の軽減、工場等制限法の緩和、さらには 平成10年度に入ってから16兆円にのぼる総合経済対策の取りまとめが実現した。

【行政改革推進 への取り組み】
 行政改革の断行による「小さな政府」の実現に向けて、大商は5月に「政府系中小 企業金融機関の改革に関する要望」を、7月には「日本開発銀行の見直しに関する要 望」を建議した。3月には関西でも行革機運を盛り上げようと「行革フォーラム98 大阪」を開催。その成果をうけて大西会頭らが橋本内閣総理大臣を総理官邸に訪ね、 直接「行政改革の推進について」要望し、中央省庁等改革基本法案の第142回通常 国会での成立の実現を求めた。


◎地域魅力の向上図る

【企業家ミュージアム構想の推進】
 平成2年から検討してきた商業博物館(仮称)構想を再編し、チャレンジ精神あふ れる大阪の企業家精神を次代を担う若者たちに伝える「大商企業家ミュージアム(仮 称)」構想として推進していくことになり、同ミュージアムの基本構想をまとめた

【2008年五輪大阪招致推進】
 8月、2008年オリンピックの国内候補都市に大阪市が選定された。大商も大阪 オリンピック招致推進会議とともに、東京でのPR活動や招致活動に全力をあげた。 国際的な招致活動の参考にするため、9月にローザンヌで行われたIOC総会を視察 したほか、2月に開催された長野オリンピックに視察団を派遣した。

【観光の振興】
 「欧州集客都市調査団」を派遣し、その成果を盛り込み、大商が実践する「観光振 興アクション・プログラム」を策定し、平成10年度から順次実践していくこととな った。

【交流拡大の環境づくり】
 関西国際空港は、全体構想の実現を目指して関係省庁に要望活動を行ったほか、2 期事業の民間出資420億円の出資スキームを取りまとめ、12月から増資、新規出 資の依頼を開始した。
 大阪国際会議場は、先年合意されたスキームに基づく経済界募金の目標額15億円 を達成した。

【リノベーション研究会設置】
 大阪にとってふさわしいリノベーションの方向性などを探り、大都市・大阪のリノ ベーションの推進に向けた具体的方策を提言するため、「リノベーション研究会」を 九月に設置した。今年度は「大都市・大阪のリノベーションに関するアンケート調査」 を実施し、その結果を踏まえ、大阪のリノベーションのための基本的方向を「大都市・ 大阪のリノベーションに関する調査研究報告『戦略編』」として取りまとめた。


◎会員サービス事業のサービス


 生命共済、特定退職金共済、個人年金共済、PL団体保険、がん保険などの制度普 及に努め、一層の会員サービス事業充実を図った。また、会員交流の促進のため、月 例会員講演会や会員ゴルフ大会を開催した。そのほか、大商の事業活動をタイムリー に広報する「大商ニュース」、ビジネス情報誌「チェンバー」、大阪市内の新しい動 きを紹介する「大阪ぶらりある区」などの刊行物の充実に努めた。

<主なサービス事業>

・国内・海外取引の紹介
・各種研修・検定
・技術開発支援
・各種証明発行
・月例講演会
・貸会議室
・賢島研修センター
・商工図書館サービス
・経営情報処理サービス
・共済事業
・PL団体保険制度
・がん保険制度
・健康管理事業
・チェンバーズカード
・会員映画会
・チェンバーコンサート
・旅行関連サービス事業


◎主要事項

◆4月
・非公開企業のM&A市場開設
・近商連にベンチャービジネス支援センター開設
・関西財界訪中代表団派遣
・英国・北東イングランド商工会議所と提携
・第16回京阪神3商工会議所懇談会開催

◆5月
・大商就職フェア98開催(7、9月にも開催)
・磯村大阪市長が五輪計画について会員講演会で講演

◆6月
・地球温暖化防止対策研究会設置
・大阪オリンピック招致推進フォーラムinTOKYO開催
・留学生と企業の交流サロン開催
・中国内陸部投資環境調査団派遣

◆7月
・留学生里親事業 ・対面の会開催
・オリンピック・ポスター展開催
・リノベーション研究会設置

◆8月
・2008年夏季五輪の国内候補地が大阪市に決定
・米国流通業最新事情視察研修実施

◆9月
・福祉関連機器産業振興懇談会が発足
・大商ハイテクノスクール開講
・カレッジフェア97開催
・APEC中小企業大臣会合・官民合同会議に参加
・大商ビジネス・アンバサダー制度が発足
・欧州経済使節団を派遣、大阪/マンチェスター・フォーラム97に参加
・欧州集客都市調査団派遣

◆10月
・中小企業振興月間事業実施
・ロボリンピア97開催
・第2回関西/西部カナダ・ビジネスフォーラム開催
・中小企業対策大阪大会開催
・1997年世界ビジネス・コンベンション開催
・アジア太平洋ベンチャー(APV)97開催
・地球温暖化防止のための企業行動ガイド発表
・2000年主要国首脳会議の大阪誘致表明

◆11月
・OSAKAクラシック・コンサート・マンスリーガイド発刊
・いきいきおおさか・中小企業フェスタ97開催
・環境問題シンポジウム開催
・優良商工従業員表彰式開催
・平成10年度国家予算、関西国際空港全体構想の早期実現に関し政府に陳情
・都市型コミュニティ研究会設置

◆12月
・関西国際空港2期事業の民間出資依頼をスタート
・緑化貢献者表彰式開催

◆1月
・生命共済加入キャンペーン実施
・外国企業の対日投資促進策についての提言発表

◆2月
・福祉産業フォーラム大阪98開催
・長野オリンピック視察団派遣
・中小企業のための公的融資フェア開催
・留学生里親事業20周年記念式典開催

◆3月
・ベンチャービジネス・フォーラム98開催
・行革フォーラム98大阪開催
・観光振興アクション・プログラム策定
・大商企業家ミュージアム(仮称)開設推進特別委員会設置、基本構想発表


2003.4.1更新
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