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事業報告概要(平成8年度)

 世界的な「大競争時代」の中で、わが国は、 一大転換期に直面しており、政治、行政、社会 などのシステム改革を断行する必要に迫られて いる。
 こうした中でわが国企業が活力を維持してい くため、本会議所では、中小製造業の活性化策 について検討を行ったほか、企業の公的負担の 軽減や産業構造の高度化支援、行財政改革・規 制緩和の推進などによって、企業活動をより自 由に行える環境を整え、自己責任原則と市場経 済原理に基づいた経済社会構造を構築するよう 要望した。その結果、「行政改革会議」が設置 され、省庁再編の検討や官民の活動領域の見直 しが進められているほか、規制緩和推進計画も 進展した。また、「特定産業集積活性化法」が 成立し、中堅・中小企業の経営高度化支援が行 われることとなった。さらに本会議所が全国に 先駆けて要望していた、ベンチャービジネス育 成のための個人投資家優遇税制(エンジェル支 援税制)が創設された。

 こうした提言・要望活動に加え、都市格向上 に向けた具体的な事業を展開した。
 第一に、中小企業の活性化に向け、以下の事 業を実施した。まず、新規企業やベンチャービ ジネス育成の一環として、起業家やベンチャー ビジネスに対して、資金、技術、販路などの分 野で協力者との出会いの場を提供するため、 「アジア太平洋ベンチャー(APV)」と「ベ ンチャービジネス・フォーラム」を開催した。 また、新規開業支援サービスセンター(NES SC)を運営し、起業をめざす人々の相談に応 ずるとともに、開業セミナーを開催し情報の提 供に努めた。さらに、日常的にベンチャービジ ネスのパートナー開拓を支援する「ベンチャー ビジネス支援センター」の創設や、既存企業の 新分野進出、後継者問題に対応するため非公開 企業のM&A市場の創設について検討を行い、 前者は近畿商工会議所連合会で、後者は本会議 所で9年度からオープンすることとなった。
 一方、中小製造業の技術力向上に資するため、 昨年に続き「カレッジフェア」を開催したほか、 環境問題への対応として、プラスチックリサイ クルシステムについて検討を重ねた。また、停 滞感が強い商店街の抜本的振興策について検討 を行うとともに、情報化を促進するため、情報 化推進委員会の下部組織であるインターネット 活用ワーキンググループにおいて、中小企業の インターネット活用策を探るとともに、本会議 所としても本格的にインターネットプロバイダ 事業を開始したほか、電子メール配信事業も実 験的に開始した。このほか、新卒採用を支援す るため、従来の大商就職フェアに加え、新たに 「理工系業界研究セミナー」を、また人材の流 動化促進をはかるため、初めて「人材情報交流 会」を開催した。小規模企業振興策としては、 昨年度に続き「いきいきおおさか・中小企業フ ェスタ」を開催するなど、経営改善に資する事 業を積極的に実施した。

 第二に、都市整備・文化振興に向けた取り組 みとして、まず、関西国際空港全体構想の早期 実現にむけ、関係省庁に陳情を行ったほか、 「関西国際空港2期事業民間出資促進委員会」 を組織し、1年程度かけて出資の割り振り案を とりまとめることとなった。大阪国際会議場に ついては、今後の事業推進方針が確認され、12 年春のオープンを目指し、大阪府が建設に着手 した。また、新たな全総計画策定にむけ、国土 の分散自立的発展の実現を新しい国土計画の基 本構想にすべきとの提言をまとめ、要望した。 さらに、かねてより検討中の商業博物館(仮 称)は、東区役所跡地における構想具体化に入 り、商都・大阪を支えた商人、商品、商法に焦 点をあてた展示計画を策定した。
 一方、都市型観光振興のあり方を検討するた め「観光振興特別委員会」を設置し、三都夏ま つりキャンペーンを展開するとともに、ニュー ヨークやナッシュビルなどの米国の代表的な集 客都市に視察団を派遣した。また、2008年オリ ンピックの大阪招致を目指し、その支援活動方 策を探るため、アトランタ・オリンピック視察 団を派遣したほか、「大阪オリンピック招致推 進特別委員会」を発足させ、招致機運を盛り上 げた。
 また、大阪のイメージアップと景観の向上を 目指し、都市の緑化に関する手引き書を作成、 配布したほか、引き続き「大阪の森」づくり事 業を推進した。

 第三に、国際化の推進に向けた取り組みとし て、G−BOCの開催に加え、大阪・関西にビ ジネス拠点を設けようとする海外の企業や政府 関係機関に対し情報提供を行う「大阪商工会議 所ビジネス・インフォメーション・センター (O−BIC)」を開設するとともに、大阪の 活性化につながる外資誘致策、並びに在阪中小 企業の海外進出のあり方を研究・提言する「国 際投資交流特別委員会」を設置し、国際ビジネ ス交流の拡大につとめた。
 また、APEC事業に積極的に協力する一方、 アジア及び大洋州18カ国・地域の経済団体等で 組織されるアジア商工会議所連合会(CACC I)第16回総会を、1970年以来26年ぶりに大阪 で開催、大西会頭がCACCI新会長に選出さ れた。さらに、カナダ、豪州などに使節団を派 遣する一方、45カ国・地域から1,111 人の要人、 使節団を迎えた。この結果 、本年度に会議所を 訪れた外国人は、G−BOCやCACCIなど の参加者を含め2,243 人にのぼった。またビジ ネス・ネットワークの拡充をめざし、ニュージ ーランド・オークランド商工会議所など2団体 と新たに事業提携を結び、本会議所の提携団体 は33団体となった。
 あわせて、在日外国人留学生を支援するため、 留学生の採用や社員寮の開放などを企業に呼び かける「一企業一貢献運動」を引き続き推進し たほか、留学生里親制度などを通 じた交流促進 をはかった。

 以上のような事業を展開する一方、共済事業 やPL団体保険制度、がん保険制度の普及、健 康管理事業の実施、「大商ニュース」「チェン バー」の刊行など、各種会員サービス事業の充 実につとめた。
 また、本年度は議員改選期にあたり、2号議 員52人、1号議員76人、3号議員22人の順で選 出した。新議員の選出後、11月29日に第1回議 員総会を開催、任期満了に伴う役員の改選を行 い、大西正文会頭、堀田輝雄、稲畑勝雄、井植 敏、森英雄、大西隆、田代和、小池俊二の7副 会頭をはじめ、専務理事、常議員50人、監事3 人を選任した。
 加えて、会員増強運動も引き続き展開し、6, 433 件の新規加入という成果 をあげた。

 本年度は、上記を中心に次の事業を行ったが、 各部会長、各委員長より、本会議所定款第53条、 第58条、第62条の規定に基づきそれぞれ会務報 告があった。


2003.4.1更新
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