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平成11年度事業報告(概要)
出典:大商ニュース 2000年8月5日号

●【平成11年度事業報告】「交流から創造へ」意気高く


 大商は平成十一年度、会員の皆様のご協力を得て、(1)景気浮揚、各種改革の促進(2)産業活力の再生・創造の推進(3)都市再構築への取り組みなど、「交流から創造」をスローガンに多彩な事業を展開しました。
 この年、日本経済は一連の景気対策が実効を得てやや明るさを見せ始めたものの、大阪・関西では、個人消費や民間設備投資が低迷を続け、失業率が高止まりするなど、中小企業を中心に厳しい状況が続きました。そこで景気対策の機動的追加や中小企業対策の抜本的見直し、資金調達の多様化や実効性ある雇用対策の実施などを政府に要望。その結果、事業費約十八兆円の経済新生対策が決定したほか総額六兆七千億円超 の第二次補正予算が成立しました。
 一方、大学・研究機関の研究成果を中小企業に橋渡しする「産学官技術移転フェア」を開催、取引支援広域ネットワーク「ザ・ビジネスモール」を開発、起業希望者などの相談に一元的に応える「大阪中央地域中小企業支援センター」を設置するなど中小企業の支援に努めたほか、地域のためには「大阪ロケーション・サービス協議会」を設立し映画やコマーシャルフィルムなどのロケを誘致しました。    以上の事業を展開する一方、「新入会員の集い」の開催、宿泊施設「プライムリゾート賢島」との契約など、会員サービス事業を一層充実させました。

◎田代体制2期目へ

 十一年度は議員改選期にあたった。二号議員の改選は五〜六月にかけて各部会ごとに行い、十四部会で定数五十二人を選任した。一号議員については十一月一日に選挙を行い、会員・特定商工業者の投票によって七十六人を選んだ。三号議員は十一月十五日開催の議員協議会で二十二人を選任した。これにより、新議員百五十人の選任を完了した。
 十一月二十九日の第一回臨時議員総会では任期満了に伴う役員の改選を行い、田代和会頭と、堀田輝雄、井植敏、森英雄、大西隆、小池俊二の五副会頭を再選したほか、北村恭二、海保孝の二氏を副会頭に選任した。

◎景気浮揚、各種改革の推進

 十月の小渕第二次改造内閣の発足に伴い、第二次補正予算の早期編成など景気対策の拡充、中小企業対策の抜本的見直し、首都機能移転の推進、関西国際空港二期事業の早期実現などの要望を取りまとめ、小渕首相はじめ全閣僚に建議。田代和会頭が関係閣僚を訪問し、要望の実現を求めた。十一月に事業費約十八兆円の経済新生対策が決定され、十二月には総額六兆七千億円を超える第二次補正予算が成立。また、中小企業基本法が改正され、中小企業の定義が二十六年ぶりに拡大された。中小企業金融の円滑化を図るための措置や、中小・ベンチャー企業関係税制の改善が図られた。
 中堅・中小企業の資金調達多様化に関する提言を建議。中小企業金融安定化特別保証制度の一年延長と保証枠十兆円の追加、私募債への信用保証協会の保証の付与、中小企業金融公庫の業務拡大などが盛り込まれた。
 首都機能移転は、積極的な取り組みを受け、十二月に国会等移転審議会から出された最終答申で、「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」とともに、「三重・畿央地域」が候補地に選定された。
 このほか、東京都による大手金融機関への外形標準課税導入の動きが全国・全業種に拡大し、中小・ベンチャー企業に悪影響を及ぼすことを懸念し、通産相はじめ大阪府知事などに対して導入反対を陳情した。

<主な要望活動>

4月
・中堅・中小企業の資金調達多様化に関する提言
6月
・中小企業対策に関する要望
7月
・実効ある緊急雇用対策の実施を望む
9月
・税制改正に関する要望
・政府系金融機関における金利減免措置の取り扱い期間延長に関する要望
10月
・小渕第二次改造内閣への要望
11月
・「ペイオフ解禁」に関する意見
3月
・外形標準課税の導入反対について


◎産業活力の再生・創造

【技術力の向上】
 大学・研究機関が有する研究成果を企業の新事業・新製品開発に結びつけるため、九月に産学官技術移転フェアを開催した。十七大学・九研究機関から約二百人の研究者、三百八十人の企業関係者が参加した。

【新分野進出・新製品開発支援】
 「企業名匿名方式による非公開企業のM&A市場」は同年度四件の成約が誕生した。十月からは尼崎商工会議所が新たに連携先となり、京都・神戸とあわせて三商工会議所となった。さらに大商の呼びかけで、札幌から北九州までの十三商工会議所が集中的にM&A啓発セミナーを開催した。また、中小企業に販路開拓、PR、企業間交流・情報収集の機会を提供する「いきいきおおさか中小企業フェスタ99」を十一月に開催、過去最多の九十五企業・団体が出展した。

【環境問題への対応】
 環境の国際規格であるISO14001の認証取得を支援するため「環境マネジメントシステム共同構築実践セミナー」「環境マネジメントセミナー」を、また資源循環型社会の構築を目指して「地球環境シンポジウム」を開催した。さらに、「プラスチック・リサイクルシステム事業化研究会」の報告がまとまり、同事業会社の設立へ向け検討を進めた。また容器包装リサイクル法の完全施行により、十一月から相談・申込受付・契約業務を実施した。

【情報化の推進】
 中小企業の電子商取引に寄与するため中小企業向け取引支援など広域情報ネットワークシステム「ザ・ビジネスモール」を開発、同様のシステムとしては日本最大の規模に達した。またマルチメディア産業振興のためのバーチャル・インキュベータ事業としては、「なにわデジタル経営セミナー99」「デジタル起業家経営セミナー2000」を開催。さらに、「マルチメディアコンテンツOSAKAフェスティバル」を二月に開き、総来場者数は一万八千二百二人に達した。

【国際化の推進】
 十四回目を迎えた世界ビジネス・コンベンション(G−BOC99)を十月に開催、海外三十一カ国・地域より五百七十五人にのぼる企業経営者や政府・経済団体関係者らが参加した。また業界で高いシェアを誇る企業や、独自の技術を有する企業を集めた「グローバル・エクセレント・プロダクツ・フェア」を初めて開催した。
 また、六月に欧州の単一通貨ユーロの導入に伴う影響を探るため欧州経済視察団を派遣。八月から九月にかけては東南アジア経済使節団を派遣し、政財界要人と意見交換した。
 加えて、「在阪企業の海外投資のあり方」に関する調査を実施した。

【人材の確保・育成】
 中小企業の人材確保を支援する「大商就職フェア2000」を四月に開催した。また、人材の流動化の促進をはかるため、「人材情報交流会」を七月と十二月に開き、常設の「大商人材情報プラザ」では二十五人の就職が決まった。加えて、転職・独立開業、スキルアップ、雇用に関する情報提供で雇用のミスマッチの解消・労働力移動の円滑化を図る「オレンジフェア(転職準備フェア)」を九月に催した。さらに、政府の「緊急地域就職促進プロジェクト」事業の一環として、「職場体験講習」を実施。会員事業主が推薦する三百六十二人を優良商工従業員として表彰したほか、能力開発、人材育成に関する各種講座や検定試験を実施した。

【小企業等に対する経営指導・金融斡旋】
 小規模企業に対し、金融税務・経営などの経営指導や経営改善講習会などを実施したほか、三月には新しい中小企業金融対策について情報提供するため「公的融資フェア」を開催した。七月には二十三支部の代表と正副会頭との懇談会を開催、寄せられた発言を政府などへの要望や、大商事業に生かすよう努めた。

【起業支援】
 起業や新産業創出の支援のため、「新規開業支援サービスセンター」や「近連ベンチャービジネス支援センター」の運営に努めてきたが、一月にはこれらを統合して「大阪中央地域中小企業支援センター」を設置し、アイデア段階から創業まで起業希望者などの相談に一元的に応えうる体制を整えた。また、「新規開業応援セミナー」「開業相談会」を七月に開催した。

【ベンチャービジネスの育成】
 国内外の優れたハイテク・ベンチャー企業の国際商談会「グローバル・ベンチャー・フォーラム99(GVF99)」を、十月に開催した。百七十八社の応募から選出した四十二社がビジネスプランを発表、延べ五百十五件の個別商談・情報交換が行なわれた。

【新産業の振興】
 福祉産業を大阪・関西で振興するため、二月に「福祉産業フォーラム・大阪2000」を開催した。また、関連情報を提供する場として、福祉ビジネス懇談会を開催した。
 また、家電とコンピューターが融合した情報家電に関連するニュービジネスの振興のため「関西における情報家電産業の振興を考える研究会」を八月に設置。その活動を通じて、インターネットでアニメーションを配信するベンチャー企業が誕生した。あわせて、アニメなどデジタルコンテンツ育成の研究にも取り組んだ。

【大阪企業家ミュージアム開設準備・パイロット事業】
 企業家精神の高揚と人材の開発育成をめざす「大阪企業家ミュージアム」の2001年春のオープンに向けて展示計画を検討。企業家の選定を進めるとともに、その事績に関する情報を「企業家デジタルアーカイブ」として収録するなどの具体的作業を開始。開設後の人材開発事業のノウハウを蓄積するため、小・中・高校生を対象とした「社会人特別講師の派遣」、「商業体験事業(キッズマート)」などのパイロット事業を実施した。
 また、関西が輩出したすぐれた企業家に直接ビデオ・インタビューし、その人となりや事績を後世に残す「関西企業家映像ライブラリー(仮称)」の構築について検討した。
 さらに、在任中、新規産業の創出やベンチャー企業の育成に力を注いだ大西正史前会頭の顕彰事業として、「企業家研究基金」を設置した。

◎都市再構築への取り組み

【基盤施設の 整備・運営支援】

 開港五周年を迎えた関西国際空港の二期事業ならびに全体構想の推進、大阪府立国際会議場の建設など基盤施設の整備・運営を支援。2008年オリンピックの誘致に地元自治体や経済団体と協力して取り組んだ。また、世界観光機関(WTO)の2001年総会の大阪誘致に率先して取り組み、大阪とソウルの共同開催となった。さらに、「観光振興アクションプログラム」として、「産業視察ガイド」や「外国人のためのグルメガイド」などを作成、大阪の観光魅力のPRに努めた。また大阪に映画やコマーシャルフィルムなどのロケーションを誘致するため、大商が関係機関に働きかけ「大阪ロケーション・サービス協議会」を二月に設立、大阪の知名度の向上と集客力の強化に向けた取り組みを開始した。

【まちづくり事業への参画】
 「大規模小売店舗立地法」「改正都市計画法」「中心市街地活性化法」のいわゆるまちづくり三法の普及・広報活動に努めた。また、地域アメニティーの向上とまちづくりを目的に組織したアメニティ・ソサエティの活動をより充実させるため、七月に「アメニティ・ソサエティ活動連絡協議会」を発足。市内の商店街・小売市場の活性化の取り組みを紹介する「これならうちでも〜商店街・小売市場活性化事例集」を発行した。

【外国企業などの立地促進】
 海外での大阪・関西の認知度を高め、集客と対日投資を促進させるため、海外出張の多い企業経営者などを「大商ビジネス・アンバサダー」に任命し、海外でのプロモーション活動を展開した。あわせて、関西に関心を持つ外国企業などに対し、「大阪ビジネス・インフォメーションセンター(O−BIC)」を通じてビジネスに関する各種の情報を提供。加えて、関西在住の外国人ビジネスマンや外交官と、スピーチとディスカッションを英語で行う「大阪インターナショナル・フォーラム」を五回開催した。

◎会員サービス事業の充実

 大商事業の内容紹介や積極的な参画呼びかけ、相互交流を目的に「新入会員の集い」を開催した。また、共済事業、PL団体保険、がん保険など各種制度の普及、健康関連サービス事業など会員サービス事業の拡充に努めた。
 九月には賢島研修センターが閉館となったが、これに代えて会員制の施設「プライムリゾート賢島」に入会し、その利用促進を図った。
 このほか「大商ニュース」「チェンバー」や「大商ホームページ」に加え、新たに「メールマガジン」をも活用し広報活動を展開した。

<主なサービス事業>

・新入会員の集い
・国内・海外取引の照会
・各種研修・検定
・技術開発支援
・各種証明発
・プライムリゾート賢島
・商工図書館サービス
・経営情報処理サービス
・各種共済事業
・PL団体保険制度
・がん保険制度
・健康管理事業
・チェンバーズカード
・大商ホームページ
・旅行関連サービス事業

◎主要事項

◆4月
・大商就職フェア開催
・中堅・中小企業の資金調達多様化に関する提言

◆6月
・関西PRシンボルマーク決まる
・環瀬戸内圏財界セミナー・福山会議開催
・関西広域連携協議会発足
・欧州経済視察団派遣
・平成十二年度中小企業対策に関する要望建議
・留学生と里親対面の会開催
・中堅・中小企業のためのISO14001認証取得支援事業スタート

◆7月
・「実効ある緊急雇用対策の実施を望む」建議
・正副会頭、二十三支部役員との懇談会開催
・大阪アニメ産業振興研究会設置
・大西前会頭顕彰事業「企業家研究基金」創設

◆8月
・産業観光ガイドブック発行
・大阪企業家ミュージアム
・人材開発パイロット事業実施(十二月にも実施)
・東南アジア経済使節団派遣

◆9月
・オレンジフェア(転職準備フェア)開催
・平成十二年度税制改正に関する要望建議
・大阪グルメガイド発行
・京阪神三商工会議所懇談会開催
・産学官技術移転フェア99開催
・賢島研修センター「プラージ」を閉館

◆10月
・小渕第二次改造内閣への要望建議
・G−BOC99、GVF99開催
・都市計画制度の拡充に関する要望建議

◆11月
・一号議員選挙施行
・ペイオフ解禁に関する意見建議
・優良商工従業員表彰式開催
・いきいきおおさか・中小企業フェスタ99開催
・「プライムリゾート賢島」利用開始
・役員改選、田代体制二期目へ

◆12月
・「人材情報プラザ99」開催

◆1月
・大阪中央地域中小企業支援センター設置
・大阪の標準者モデル賃金発表

◆2月
・福祉産業フォーラム・大阪2000開催
・大阪ロケーション・サービス協議会設立
・大商メールマガジンの配信スタート
・深谷通商産業大臣との懇談会開催

◆3月
・新入会員の集い開催
・「在阪企業の海外投資のあり方」調査報告
・関西観光産業振興フォーラム設立
・商店街・小売市場活性化事例集「これならうちでも…」を発刊


2003.4.1更新
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