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大商ニュース   2019/1/25号



スーパーシティ構想
「オール大阪で検討準備を」尾崎会頭が提案

 大阪商工会議所は、関西経済連合会、関西経済同友会とともに、「大阪府・大阪市・経済3団体首脳による意見交換会」を15日、大商で開いた。尾崎裕大商会頭はじめ、松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長、松本正義関経連会長、黒田章裕・池田博之の両同友会代表幹事が出席。行政と経済界が一体となった観光やまちづくり、成長戦略などについて意見交換した。

 大阪府、大阪市との意見交換会で冒頭あいさつに立った大商の尾崎会頭は、2025年国際博覧会(万博)を大阪・関西の発展につなげるため、現在、国で検討中の第4次産業革命関連技術を実装したまちづくり構想「スーパーシティ」の公募に向けて、オール大阪で検討準備を行うことを提案した。これは、世界最先端の技術やアイデアが実装できる場として、国内外のスタートアップや中小企業からアイデアを募り、万博終了後も国内外の企業が大阪で新しいビジネスへの挑戦を続ける好循環をめざすもの。新しいテクノロジーを活用した新産業を生み出すエリアを大阪につくっていくため、国の検討状況を見定めながら大阪が立候補すること、また実証実験の経験を踏まえて必要であれば大阪から具体的な制度設計を提案することとなった。
 また外国人材の受け入れについては、暮らしやすい環境整備や企業の雇用サポートなど、官民が連携して、大阪で優秀な外国人材を受け入れる仕組みが必要との認識で一致した。このほか、ベンチャーエコシステムの構築や、夢洲のまちづくりなどについても、官民が連携を強化して取り組んでいくことを確認した。
【問合せ】広報企画担当TEL6944・6324


水と光のまちづくり推進会議
G20などで魅力発信

 水辺の利活用や街のライトアップなどにより、「水と光の首都大阪」の実現を目指す「水と光のまちづくり推進会議」(会長=尾崎裕・大阪商工会議所会頭)の第10回会合が15日、大商で開かれ、尾崎裕大商会頭、松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長、松本正義関西経済連合会会長、黒田章裕関西経済同友会代表幹事らが出席した。
 会議では初めに、水都大阪コンソーシアム、大阪・光の饗宴実行委員会、光のまちづくり推進委員会がそれぞれの活動を報告し、続いて意見交換を行った。出席した委員からは「G20サミットやラグビーワールドカップ(W杯)など今後開催されるビッグイベントを絶好の機会として、大阪の魅力をアピールするべき」「IRの誘致や万博を見据え、ベイエリアにも事業をひろげていきたい」などの意見が出された。
【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


国際観光都市・大阪へ
MICE誘致戦略など議論

 大阪商工会議所は15日、大阪府、大阪市、関西経済連合会、関西経済同友会とともに構成する「大阪観光局(DMO)の推進に関するトップ会議」を大商で開いた。
 同会議では、大阪観光局によるデータにもとづくマーケティング強化や、食、スポーツ、ウエルネスに重点を置いた事業展開が確認されたほか、MICE推進戦略などについて話し合われた。
 大商の尾崎裕会頭は、大阪における「食」のブランディング強化や、スポーツやウエルネスの強み、国際競争力のあるMICE誘致体制の整備について言及した。
 大阪観光局は、日本の観光の「ショーケース」となり、国際観光都市・大阪を目指していくために、同会議の参加自治体、団体に対して支援、協力を求めた。
【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


MaaS研究会 設置
2月6日キックオフセミナー

 大阪商工会議所は、次世代の新交通サービスと言われる「MaaS(Mobility as a Service)」の社会実装を検討するため、2月に研究会を設置する。2月6日にはキックオフセミナーを開く。
 MaaSは、既存の交通サービスとカーシェアや配車サービスなどの新しい交通サービスを統合し、一つのスマートフォンのアプリを通してルート検索、予約、決済機能にアクセスできる仕組み。
 キックオフセミナーでは、MaaSの概要や各産業のビジネスモデル変革などを講演するほか、研究会の趣旨を説明し、参加を募る。午後3〜5時、大商で。無料。定員150人。事前申し込み先着順。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201812/D22190206017.html)に掲載。
【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


スポーツ産業の拡大可能性探るイベント
2月22、23日にうめきたで

 大阪商工会議所が企画・運営する体験型イノベーション・ショーケース「Ex―CROSS」が2月22〜23日に開催される。これは大商が参画する「舞洲プロジェクト」、「うめきた2期みどりとイノベーションの融合拠点形成推進協議会」の主催事業として実施。
 3人制バスケットボールやスポーツクライミング、インラインスケートなどのスポーツ競技のトップ選手によるライブパフォーマンスや体験教室を行うほか、スポーツとの融合が可能なテクノロジーを持つ企業によるテックデモを競技と併せて実施し、スポーツ産業の可能性を紹介。キックオフカンファレンスでは鈴木大地スポーツ庁長官が登壇し、スポーツ産業拡大の可能性について有識者らと討論する。
 うめきたSHIPホール、うめきたUMEDAIガーデンで。無料。キックオフカンファレンスのみ事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201901/D29190222016.html)に掲載。
【問合せ】スポーツ産業振興担当TEL6944・6403


ベトナムに視察団派遣
地方都市ダナンも初訪問

 大阪商工会議所は日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部とともに昨年11月26日〜12月1日、ベトナム(ハノイ、ダナン・ホイアン、ホーチミン)に視察団を派遣した。大商がジェトロと共同で視察団を派遣するのは今回が7回目。団長は冨田稔・大商常議員・国際ビジネス委員長(丸紅執行役員大阪支社長)、曽根一朗・ジェトロ大阪本部長が共同で務め、20社24人が参加。政府機関や進出日系企業などとの懇談、ベトナム人材とのネットワーキングも実施した。

 大商は中期計画「たんと繁盛 大阪アクション」を掲げ、アジアとのビジネス交流、特にアセアン域内での多面展開や二次進出を支援している。今回の視察団にはその趣旨に加え、昨年度の会頭ミッションで面談したベトナムのフック首相との懇談を踏まえて、裾野産業育成、地方都市との交流という点も加味した。
 ハノイでは日系企業約180社が入る第二タンロン工業団地のレンタル工場で、事業を最近始めた中小企業を視察。また、同国屈指の難関校ハノイ国家大学では日本語学科在校生約30人を交えてネットワーキングを行った。
 ダナンは大商とジェトロの共同視察団としては初めて訪ねる地方都市で、昨年10月から関空との直行便も就航。投資促進支援委員会が「東西経済回廊の玄関口であるダナンではハイテク産業育成や港湾整備が進行している。中部の中核都市として製造・物流拠点にしたい」と方向性を示した。
 ホーチミンではホーチミン日本商工会議所の門脇恵一会頭らから通関や税務上のトラブルなど実務で頻発する課題などについて忌憚なく意見交換した。
 同国は累計投資認可額で日本は2位となるなど、アセアンでの進出先として人気が高い。他方、裾野産業の育成とインフラのさらなる整備の必要性などの課題もある。同国政府は日本の中小企業誘致に熱心で、環太平洋経済連携協定(TPP)にも加盟。大商も関連セミナーなどを通じて、在阪企業の同国やアセアンへのビジネス展開を支援していく。
【問合せ】国際部TEL6944・6411


マクロミクロ ――― バスで発見!大阪の魅力

 大阪には豊かな歴史の蓄積があり、史跡を歩いて巡る人をよくみかけるが、ずぼらな私が最近はまっている路線バスを使ったまち巡りはいかが。私のお勧めの路線は住吉車庫前発大阪駅前行きの大阪シティバス62号系統だ▼あべの橋から乗車すると、創建1400年を超える四天王寺を筆頭に寺院が立ち並ぶ谷町筋を北上。天王寺警察署前を経由し、上町筋を進む。やがて右手には新歌舞伎座、続いて難波宮跡、そして壮麗な大阪城が車窓に広がる▼バスは土佐堀通を西へ。水都大阪の賑わいと近代建築群が堪能できる。肥後橋を北へ曲がり、終点の大阪駅前の日常の雑踏で我に返る。街は過去から現在につながっていることを実感する▼バスは停留所の間隔が短く、興味が湧いたスポットで手軽に乗降できるのも長所だ。1日乗車券を使えば、お財布にも優しい。スポット巡りに疲れたら、運転手の運転技術や同乗者を観察してみるのも案外楽しい。最近は外国人観光客の姿もよく見る▼普段何気なく見ている街でも、鉄道では味わえないゆるいスピード感と心地よい乗客の距離感が、新たな発見を与えてくれる。大阪は本当に奥深い。(竹馬)


新入会員ご紹介お願い 3月1日までキャンペーン

 大阪商工会議所は今年3月1日まで、新入会員を紹介いただいた会員に1件1万円分の商品券を差しあげる新入会員紹介キャンペーンを実施しています。
 ご紹介いただいた事業所が今年度1〜3月に入会いただき、かつ別途定めるキャンペーン適用条件を満たしたご紹介者へ全国百貨店共通商品券1万円分を進呈します。この機会にぜひお取引先のご紹介をお願い申しあげます。
 ご紹介方法やキャンペーン適用条件などの詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/nyuukai/shoukai.html)に掲載。
【問合せ】会員部TEL6944・6485(受付は平日9:00〜17:00)


注目のブロックチェーン 連続MeetUp

 大阪商工会議所は2月23日、ブロックチェーン(BC)連続MeetUpの第2回を開く。今回は、BCの有望な活用領域の一つとして注目される「トークン」をテーマに、BC上で電子的に記録された価値が流通する経済圏・コミュニティーについて考える。
 モバイルオンラインゲームやVR/AR事業を手がけるgumiの國光宏尚会長がBC業界の展望などについて講演。分散型ソーシャルメディアプラットフォームを運営するALISの安昌宏CEOが同社のビジョンやサービスモデルなどを紹介する。國光氏、安氏によるトークンエコノミーのあり方や、社会実装に向けた課題と展望などについての討議もある。交流会も開く。午後2時〜5時45分、billage OSAKA(大阪市中央区)で。無料。ただし、交流会は1,000円。定員120人。事前申込制。MJE、関西情報センター、組込みシステム産業振興機構との共催。
【問合せ】広報企画担当TEL6944・6324


大商の要望 実現
個人版事業承継税制が創設 生産性向上支援に予算集中

 大阪商工会議所の要望が、来年度税制改正大綱や予算案に反映され、実現に向けて動き出した。更家悠介中堅・中小企業委員長(サラヤ社長)、北修爾税制委員長(阪和興業名誉会長)らが政府・与党に対し、企業の事業基盤強化や活力増進策の充実を繰り返し訴えた活動が実を結んだ。
 税制改正では、研究開発税制や中小企業向け設備投資減税の延長などが図られたほか、中小企業の防災・減災投資に係る税制優遇措置を創設。中小法人の所得800万円まで法人税率を19%から15%に軽減する措置も延長。個人事業者(青色申告事業者)が後継者へ事業用資産を承継させる際に係る贈与税、相続税を全額納税猶予できる「個人版事業承継税制」が創設された。
 予算では、来年度予算案に政府全体で中小企業対策費が1740億円、平成30年度第2次補正予算案では経済産業省関連の中小企業対策費に2078億円が計上された。
 具体的には、「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT補助金」を一体的に措置した「中小企業生産性革命推進事業」(1100億円)のほか、「事業承継・世代交代集中支援事業」(50億円)、「中小企業・小規模事業者人材対策事業」(13・7億円)などが盛り込まれた。消費増税対策として、「中小企業消費税軽減税率対策事業(レジ補助金)」(560・6億円)、「キャッシュレス・消費者還元事業」(2798億円)などが計上された。
【問合せ】経済担当TEL6944・6304


大阪医療センター 現場ニーズを発表
医工連携マッチング例会で

 大阪商工会議所は2月15日、今年度最終の次世代医療システム産業化フォーラムの医工連携マッチング例会を開く。今回は、昨年3月に大商と大阪医療センターで締結した連携協定に基づき実施するもので、大阪医療センター(大阪市中央区)で開催。
 大阪医療センターの医師、看護師をはじめとする7職種10人の医療従事者らが、医療現場に必要とされていながら未だ製品化されていない医療関連製品12テーマを発表し、共同開発に関心ある企業を募る。
 発表テーマには、医療用装置のほか医療視点での住宅設備や寝具、インソールやマスクなどの日用品の提案も含まれ、幅広い業種の企業が連携対象となる。例会後、希望企業は発表者との個別面談に参加が可能。
 参加費は大商会員2万円、一般会員3万円(いずれも1社3人まで参加可)。ただし同フォーラム会員は無料。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


医療機器の無料相談
2月20〜22日、受け付け

 大阪商工会議所は2月20〜22日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開かれる「メディカルジャパン2019大阪(第5回医療と介護の総合展)関西広域連合ブース医療機器相談コーナー」で「関西広域連合 医療機器相談」を実施する。大商の経験豊富なコーディネーターが個別相談に無料で応じる。
 医療機器ビジネスの参入方法、薬事申請、業許可取得の手続き、医療現場で使用される周辺機器(非医療機器含む)に関する内容まで幅広く受け付ける。2月12日午後4時までに申し込み要。
 同事業は大商が関西広域連合から受託している「平成30年度医療機器相談事業運営業務」の一環として行うもの。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


デジタル医療分野
ビジネス事例を紹介

 大阪商工会議所が主催する「デジタル医療イニシアティブ」は、日本医療研究開発機構(AMED)、近畿経済産業局と共催で昨年12月10日、セミナー「デジタルヘルス分野の規制と事業戦略を学ぶ」を大阪市内で開いた。
 医療機器コンサルティング企業、サン・フレアの佐藤英樹執行役員チーフコンサルタントがデジタルヘルス分野の規制やビジネス事例を紹介した。パネルディスカッションでは、デジタル医療イニシアティブの妙中義之座長がモデレートし、実際にデジタルヘルス分野でのサービス展開を目指すベンチャー企業などをパネリストに迎え、この分野における事業戦略を立案する上で押さえておくべきポイントについて議論した。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


名経営者に学ぶリーダーシップ
東支部の経済講演会

 大阪商工会議所東支部(支部長=有光幸紀・有光工業社長)は2月19日、経済講演会「超一流のリーダーシップ論〜孫正義と松下幸之助に直接学んだ成功のコツ」と交流会を開く。
 講師は多摩大学客員教授でミクシィ社外取締役の嶋聡氏。経済講演会=午後3時30分〜5時、無料。交流会=5時10分〜6時、会員1000円、一般3000円。ホテル京阪京橋グランデ(大阪市都島区)で。定員150人。事前申込制。大阪府の補助金を受けて実施。
【問合せ】東支部TEL6358・6111


会社発展に向け10の鉄則を紹介
南支部の経済セミナー

 大阪商工会議所南支部(支部長=高松啓二・近鉄百貨店社長)は2月22日、経済セミナー&交流会「5%の奇跡をつくりだす沸騰経営〜継続発展する会社をつくる10の鉄則」と交流会を開く。
 講師はビッグ・フィールド・マネージメントの大野尚代表取締役。午後2〜5時、天王寺都ホテル(大阪市阿倍野区)で。セミナー=会員無料、一般5000円。交流会=会員1000円、一般2000円。定員70人。事前申込制。大阪府の補助金を受けて実施。
【問合せ】南支部TEL6771・2211


深センをテーマにシンポ
深センをテーマにシンポ 開発スピード高め海外開拓

 大阪商工会議所と日本経済新聞社大阪本社は昨年11月26日、全3回のシンポジウム「イノベーション創出力を競う世界の都市」の第2回「深センスピードとは何か?」を共催した。同シンポジウムは、オープンイノベーションの先進地域の取り組みに学び、大阪・関西のイノベーション・エコシステムを考えるもの。

 まず、ジェネシスホールディングス社長で、深?現地法人も運営する藤岡淳一氏が、「『深センスピード』と世界から遅れる日本」と題して基調講演。成長著しい深?の現状や迅速に量産体制をつくることができるサプライチェーンについて紹介した。そのうえで、「中国企業と対等なビジネスパートナーを結ぶ局面に来ている」と指摘、「深?の活力を取り込むことで開発スピードを高め、海外市場の開拓につなげられる」と語った。
 その後、パネルディスカッションでは藤岡氏に、深セン清華大学研究院の劉仁辰副院長、日本貿易振興機構(香港)の宮下正己産業研究員が加わり、深?からイノベーションが生まれる仕組みや、試作と社会の反応を見ながら改良を繰り返す「アジャイル開発」がもたらすスピードなどについて意見交換した。
【問合せ】広報企画担当TEL6944・6324


深センのイノベーション
迅速な経営判断と実行

 2018年11月に来阪した深?清華大学研究院の劉仁辰副院長に「アジアのシリコンバレー」として注目を集める深センのイノベーションの源泉や、今後の日中企業の協業などについて聞いた。

 ――中国のイノベーションについてお聞かせ下さい。
 「アイデアや製品を短期間で大きく育てるのには中国の産業基盤は欠かせない。政府も新しい技術の産業化を積極的に支援している。ドイツの自動車メーカーは電気自動車分野の事業を本国ではなく中国で開始した。既存事業との兼ね合いと中国政府の支援が決め手だった」
 ――深センのイノベーションを支えるものは。
 「中国の国際特許出願の4分の1は深?の企業によるもの。それを支えるのはまずは人材だ。移民都市深センではあらゆる人材が見つかる。評価するのはその人の実力のみ。中国全土に約10万社あるという投資ファンドのうち4万社は深?にある。起業を支える仕組みも優れている」
 「そして『まずは試してみる』風土とそれを容認する姿勢。また、隣接する香港に倣った実務的な政府の役割も大きい。会社登記は最短1日で可能。佛山、東莞、珠海など珠江デルタ経済圏の後背地が深?発イノベーションを大量生産の面で支えている」
 ――深センのスピードの源泉は。
 「経営者は躊躇せず経営判断を下す。そして決めたことを実行する。開発面では小さい歩幅で早く進むことを重視し、試作と市場反応を受けた改良を積み重ねる『アジャイル開発』を進めている。同じ中国人でも北京や上海出身の人は深?のスピード感や生活リズムになじめないほどだ」
 ――日本企業をどう見ますか。
 「中国での事業展開には中国のビジネスのやり方に理解を深めることが必要だ。従来の日本企業のスピード感では欧米企業と競えない。一方で最近、中国では日本の『老舗』や『匠の精神』への関心が高い。製品の品質を磨き上げるところは日本式の『ゆっくり』の強み。日中は相互補完可能な分野が多々あると思う。中国の市場で挑戦する企業を我々もサポートしていきたい」

◆深セン清華大学研究院
 大阪商工会議所は2018年7月、「中国珠江デルタ経済圏視察団(団長=尾崎裕会頭)」が中国・深センを訪れた際、深セン清華大学研究院との間で今後の事業協力に合意した。
 深セン清華大学研究院は産業発展を支えることを目的に1996年に深セン市政府と清華大学が共同で設立した研究機関。技術の実用化を図る研究開発や人材育成のほか、起業家への投資・育成などを行うインキュベーターでもある。これまでに1500社以上に投資し、うち20社が上場までこぎつけている。


中国でシルバー産業視察
介護への考えの違い探る

 大阪商工会議所は昨年12月11〜14日、「中国シルバー・健康産業視察団」を派遣した。団長は深野弘行常議員・中国ビジネス委員長(伊藤忠商事常務理事社長特命(関西担当))。訪問先は北京、上海、蘇州の3都市。15人が参加。北京では現地企業との交流会を2回開き、日本的介護について情報発信したほか、地元で人気の介護施設などを訪ね、日中の介護に対する考え方の違いを探った。

 同視察団がアジア各国とのシルバー事業連携に注力する「中国亜洲経済発展協会養老産業委員会」と北京で開いた交流会には中国全土から80人近い業界関係者が参加。日本側団員からは中国で関心の高い認知症やリハビリ、転倒・転落事故対策を紹介。一方、中国側からは、日本との協業における課題について業界が発展途上にある点を踏まえた解説などが行われた。屋内外バリアフリー化などを行う「中国建材市場協会適老産業分会」との交流会では、日中双方合わせて50人以上が参加。中国側から最新の業界動向や標準作成の取り組みが紹介されたほか、日中の文化や商習慣の違いを踏まえた今後の協業などについて意見交換を行った。
 各地でシルバー関連の企業を訪問。北京で訪問した?堂集養老服務(北京)有限公司は、経営者自身が日本で長年介護事業に携わった経験や地元出身ならではのネットワークなどを生かして、公立施設の運営受託などを通して知名度を上げるとともに、コンサルティング事業などで収益を確保していた。認知症患者を積極的に受け入れている上海紅日家園企業管理有限公司は、スタッフを大家族として迎える独自の経営方針が功を奏し、離職率1%台の低さを実現すると同時に顧客満足を徹底して追求していた。
 大商は今回の視察結果を踏まえ、引き続きシルバー産業の海外展開支援に取り組んでいく。
【問合せ】国際部TEL6944・6400


AIビジネスコンテスト 2月15日に最終審査会

 大阪商工会議所は、「人工知能ビジネス研究会」の第9回例会として2月15日、「第2回AIビジネス創出アイデアコンテスト 最終審査会」を開く。これは産業技術総合研究所・人工知能技術コンソーシアムとの共催。
 今回のコンテストは昨年8月から12月まで提案を受け付け、前回を上回る23件の応募があった。最終審査会ではそのうち5件のファイナリストが公開プレゼンテーションを行い、各賞を決定する。
 午後3時45分〜7時、大商で。無料。定員70人。事前申し込み先着順。交流会は1人1000円。詳細はホームページに掲載している。
【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


G20サミット開催への期待
2月4日、フォーラム

 大阪商工会議所はG20大阪サミット関西推進協力協議会(大阪府、大阪市、関西広域連合、経済界などが参画)などとともに2月4日、「G20大阪サミットフォーラム〜G20サミットが拓く大阪の未来」を開く。
 このフォーラムは、外交の世界やサミット開催の意義、開催を契機に国際都市としてさらに成長する大阪の未来について、事業者・住民がともに考える機会。大阪府知事と大阪市長のあいさつ、藪中三十二元外務事務次官による基調講演のほか、パネル討論も行われる。午後1時〜3時30分、大商で。無料。事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201812/D11190204017.html)に掲載。
【問合せ】国際部TEL6944・6411


人材確保に向けポイントを解説
ジョブ・カードフェアで

 大阪商工会議所は2月22日、第2回「ジョブ・カード制度推進フェア」を開く。
 4月から働き方改革関連法が順次施行され、有給休暇取得が義務化されるほか、来年4月までには中小企業でも時間外労働の上限規制への対応が求められる。こうした中、同フェアでは働き方改革関連法の中でも、特に中小企業がおさえておくべき課題や対策に加え、今後の人材確保におけるポイントなどについて解説。ジョブ・カード制度の概要説明や同制度に関する個別相談会もある。午後2〜4時、大商で。無料。定員50人。事前申込制。詳細は(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201812/D26190222015.html)に掲載。
【問合せ】人材採用支援担当TEL6944・6495


研究報告と表彰式開催

 大阪府立大学大阪検定客員研究員成果報告会と大阪検定の表彰式が3月10日、開かれる。
 研究成果報告会では、大阪検定1級合格者のうち大阪府立大学大阪検定客員研究員に就任している5人が、同大学の橋爪紳也研究推進機構特別教授の指導のもと「大阪の万博」をテーマに研究に取り組んできた成果を発表。続いて「大阪の超人(大阪検定1級に過去5回合格)」をはじめ優秀な成績を収めた受験者の大阪検定表彰式も行う。
 午後1時30分〜4時、大阪府立大学I―siteなんば(大阪市浪速区)で。報告会、表彰式とも参加無料。定員100人。当日先着順で、事前申し込みは不要。詳細は、ホームページ(https://www.osaka-kentei.jp/)に掲載。
【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


常議員会開く

 大阪商工会議所は18日、第13回常議員会を開き、
(1)会員加入――について審議し、了承した。
 また、
(1)平成31年度税制改正大綱の概要と主な要望実現状況
(2)平成31年度中堅・中小・小規模企業対策に関する要望の実現状況
(3)ベトナム経済視察団 派遣
(4)MaaS(Mobility as a Service)検討――について報告した。
 なお、常議員会後の会員数は法人2万1264、団体976、個人6912の合計2万9152になった。


<新連載> ウエルネス産業 新潮流
『ミズノ』知見を健康寿命に活かす

 大リーグのイチロー選手や松井秀喜選手、卓球の福原愛選手など、多くの世界的アスリートが使用していることでも有名な日本を代表する総合スポーツ用品メーカー「ミズノ」。特に野球ではグラブ、スパイク、バットなどにおいて圧倒的なシェアを保っており、プロ野球全球団の統一仕様球を供給していることでも有名。そのミズノが高齢者の健康寿命延伸に向けた体力向上プログラムを開発した。

 高齢化社会が進む日本において、「健康寿命の延伸」は医療費の削減や高齢者の生活の質の維持・向上による社会の活性化のためにも、国家的な命題となっている。そして、その中心は食と運動であることは万人が認めるところ。その運動の部分を、豊富なトレーニングに関する技術や知見を持つミズノが独自に開発したプログラムの活用によって解決していこうという新しい取り組みというわけだ。
 このプログラムの名前は「ラララフィット」。同社の柔道整復師・健康運動指導士・介護予防主任運動指導員である吉川邦男氏が開発した。「できる」「楽しむ」「つづく」をコンセプトとした60歳からの健康運動プログラムで、安全で楽しく効果的なプログラム提供をコンセプトに自信を少しずつ積み上げられる内容となっており、「腰」「膝」「歩行」「バランス」の4つの目的別運動器の強化を目指す。
 内容はストレッチ、エクササイズ、クールダウン、そして事後評価の4つのステップで構成されており、無理なく続けられる。参加者からは「動作が軽くなり、筋力がついた実感」「歩くのが速くなった」「階段の昇り降りが楽になった」といった嬉しい声が続々と届いているとのことだ。
 さらに「ラララフィット」では、ミズノの機能性ツールやセンシングツールを使うオプションも用意されており、より効果的をあげることも可能。例えば「LaLaLa Circuit」は、油圧マシンを使った筋力トレーニングと有酸素運動であるリズム体操を同時に行い、デュアルタスク運動で脳と体の両方をしっかりと鍛えて年齢に負けない健康づくりを目指すプログラムとなっている。しっかりと運動をしたい人におススメだ。企業の健康経営をサポートするツールとしても応用でき、座ったままでの運動も可能。認知症予防効果なども期待できる。
 ミズノではこの「ラララフィット」をベースに、各自治体で行う介護予防事業や特定保健指導該当者向け事業などにも積極的に取り組んでおり、グループワークなどの手法を取り入れて、参加者同士のコミュニティーや運営する指定管理施設での運動継続なども促している。
 歩数や強度が分かるミズノ活動量計を使用し、参加者の運動量を見える化することで、日常生活の中で必要な運動量を数値で知ることができ、運動意欲の向上につなげている。今後この事業は数億円の規模を目指し、さらに事業拡大していく方針だ。

子ども向けプログラムベトナムの小学校で導入
 一方で、スポーツが苦手な子どもでも楽しく、遊び感覚で走る、跳ぶ、投げるなど基本的な動作を自然と身につけられる、運動遊びメニューと運動能力測定を組み合わせたプログラム「ヘキサスロン」も開発した。運動能力測定を行って、運動能力のレベルや得意な動作・不得意な動作を確認した後に基本的な動きの習得から段階を踏んで進められる運動遊びメニューを実践、再び運動能力測定を行い前回からの成長を確認するという流れを繰り返す。
 この「ヘキサスロン」はベトナムの初等義務教育における体育授業に採択され、18年からベトナム全土1万6000の公立小学校で順次導入される予定だ。

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 関西地域の健康を産業が支えるプラットフォームづくりを目指して、大阪商工会議所が京都・神戸の商議所とともに進める「関西ウエルネス産業振興構想」。当欄では、様々な企業、自治体のウエルネスに関する新たな製品・サービス、取り組みについて紹介する。


就業不能時に備えを 長期休業補償コース新設

 メンタルヘルス不調者の増大や損害賠償請求の高額化に伴い、労災訴訟リスクが増大している。このような状況のなか、病気やケガで長期間働けなくなることによる収入の減少を補償し、働く人の不安を減らすことのできる休業補償プランの新設コース「長期休業補償(無記名・売上高方式)」が注目されている。
 同コースは売上高と業種のみで保険料が決まり、従業員の全員加入方式で無記名(名簿提出不要)のため簡易な事務手続きで加入できる。
 加入には、3つのプラン((1)定年まで補償の60歳・65歳プラン(2)3年間は企業で補償の3年プラン(3)傷病手当金の上乗せを補償する1年5カ月プラン)から選択する。
 保険料は団体割引30%が適用され、健康経営優良法人の認定を受けた企業はさらに5%割引されるため、割安な保険料で加入できる。現在、新規加入企業を募集中。
【問合せ】共済事業室TEL6944・6352


専門家がアドバイス IT(情報技術)無料相談実施

 大阪商工会議所の経営相談室は、大阪府内の中小企業などを対象に、「IT(情報技術)」の無料相談を実施している。
 専任のITコーディネータが、生産管理・販売管理システムなどの導入やキャッシュレス化への対応、タブレットによるビジネスアプリ(POSレジ、業務管理など)の活用などの相談に応じ、生産性向上や10月からの消費税軽減税率制度への対応を支援する。
 また、販売サイトの運営やパソコン、スマートフォン、タブレット向けの情報サイト制作・改訂およびアクセス件数アップ、SNSや動画通信の活用などについてアドバイスする。
 電話、面談とも可。水曜日午後1〜5時(休館日を除く)、事前予約優先。
【問合せ】経営相談室TEL6944・6471


五代友厚生誕記念 無料ウィーク 大阪企業家ミュージアム

 大阪企業家ミュージアムは大阪商工会議所を設立し初代会頭を務めた五代友厚の誕生日2月12日にちなみ、2月7〜13日に「五代友厚生誕記念無料ウィーク」を実施する。
 期間中は入館を無料とし、あわせて同ミュージアムと大阪取引所OSEギャラリーを巡る「五代友厚スタンプラリー」を実施する。両施設のスタンプを集めた先着300人に「大坂堂島米市場限定クリアファイル」と「大阪企業家ミュージアム五代友厚イラスト入り招待券」(2枚1組)を進呈する。この機会にぜひご来館を。
【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


企業家の名言から仕事への姿勢学ぶ

 大阪企業家ミュージアムは、新入社員研修「企業家の事績、名言から企業家精神を学ぶ」を開く。
 松下幸之助氏や小林一三氏、江崎利一氏など大阪を舞台に活躍した多くの企業家の志や創意工夫、困難と挑戦をその名言とともに紹介。先人の企業家精神を通じ、仕事に取り組む姿勢を学ぶ。「新入社員が前向きな一歩を踏み出す力になる」と毎年好評を得ている。
 4月3日から同一内容で10回開催。事前申し込み要。受講料は会員2000円、一般3000円。スケジュールなどの詳細はホームページ(http://www.kigyoka.jp/)に掲載。
【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


ICT活用新事業研究会
空席配信サービスを提供 バカンの経営戦略と挑戦

 大阪商工会議所は3月5日、「第4回ICT活用新事業研究会」を開く。
 IoTとAIを駆使して空席情報配信サービスを提供するバカンの河野剛進社長を講師に招き、ICT活用による成功事例などを学ぶ。
 同社は、あらゆる待ち行列をなくすための情報提供という新サービスで今話題を呼んでいる。空席情報配信サービスを導入した大丸東京店では、混雑時の飲食店や女子トイレなどの空席状況をリアルタイムでスマートフォンなどに表示したところ、空席状況が確認できると好評を博している。「人は多いが混雑はない」という都市空間の実現に向けて、ICTを活用して空席情報を提供していく同社のビジネスモデルは海外からも大きく注目されている。午後2〜4時、大商で。無料。定員40人。事前申込制。
【問合せ】経営相談室TEL6944・6473


事業承継とM&A ポイントや事例を紹介

 大阪商工会議所は2月6日、りそな銀行などと共催し、「中小企業のための事業承継とM&A・入門セミナー」を開く。
 中小企業経営者の高齢化が進む中、後継者の確保はますます難しくなっている。同セミナーは、3つの事業承継とその課題、M&Aを検討する場合の留意点、株式譲渡によるM&Aの概要、譲渡を成功させる重要ポイント、成約事例などについて解説する入門講座。講師は、大阪府事業引継ぎ支援センターの上宮克己統括責任者。
 午後2時〜3時45分、ビジネスプラザおおさか(大阪市中央区)で。無料。定員80人。事前申込制。同事業は大阪府事業引継ぎ支援センターが行う事業の一つ。
【問合せ】事業承継・再生支援担当TEL6944・6257


2019.02.01
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