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大商ニュース   2018/12/10号



2025年大阪万博 決定
誘致活動が実る

 2025年の国際博覧会(万博)の開催国を決める博覧会国際事務局(BIE)総会が11月23日、パリで開かれ、日本がロシア、アゼルバイジャンとの熾烈な誘致競争に勝ち、万博開催の権利を手にした。同18日にパリに入り総会前日まで誘致活動を行ってきた大阪商工会議所の尾崎裕会頭は誘致決定の瞬間、世耕弘成経済産業相や松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長らと喜びを分かち合った。大阪市内のホテルには西村貞一・古川実・立野純三の各副会頭、鴻池一季・寺内俊太郎の両常議員をはじめ誘致関係者約300人が集結、日本勝利の報に会場全体が歓喜の渦に包まれた。

 総会では、アゼルバイジャン、日本、ロシアのプレゼンテーションの後、投票が行われ、1回目の投票で日本はトップの85票を獲得したものの開催国決定となる3分の2には達せず、ロシアとの決選投票となり、日本92票、ロシア61票で日本が勝利した。
 2025年大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」で、2025年5月3日(土)から11月3日(月)まで開催される予定。年内にも万博の開催に向けた準備や運営を担う協会が発足する見込み。
 大阪商工会議所は、全所を挙げて誘致活動に協力するため、昨年3月に「大阪商工会議所2025日本万国博覧会誘致推進本部(本部長=尾崎裕・大商会頭)」を設置。万博誘致ロゴマークのステッカーを28万枚配布したほか、商店街やスポーツイベント、祭りなどと連携し、機運醸成を図った。また、BIE加盟国の要人への働きかけは延べ479回に及んだ。


万博誘致議連が総会 首相に開催決定報告

 超党派の国会議員で2025年万博の誘致活動に取り組んできた「2025年大阪万国博覧会を実現する国会議員連盟」(会長=二階俊博衆議院議員)の総会が11月26日、東京都内で開かれ、二階会長は「誘致に成功したがここからが本番。素晴らしい万博を実現するために皆さんからアイデアを出してほしい」とあいさつした。
 総会には2025日本万国博覧会誘致委員会の榊原定征会長(経団連名誉会長)、松井一郎会長代行(大阪府知事)、副会長代理として古川実大阪商工会議所副会頭らが出席。榊原会長は「国、自治体、経済界、国民とオールジャパン体制で取り組んだ」と誘致成功の要因を述べた。古川副会頭は「世紀の決選投票を勝ち取る瞬間を皆さんとご一緒できた。2025年万博に向けてしっかり準備していきたい」と語った。
 また、誘致委員会メンバーは同日、安倍晋三首相、世耕弘成経済産業相をそれぞれ訪問、万博誘致決定を報告。大商からは立野純三副会頭が出席した。安倍首相は「大阪と関西のパワーで日本全体を元気にしてもらいたい」と述べた。


先端技術の実証実験 万博を集大成の場に
尾崎会頭が記者会見

 2025年万博の日本開催決定を受け、大阪商工会議所の尾崎裕会頭、関西経済連合会の松本正義会長、関西経済同友会の黒田章裕・池田博之両代表幹事が11月28日、大阪市内で記者会見を開いた。
 会場建設費の民間負担について、松本会長は地元の大阪・関西が相応の責任を果たすべきであるが、万博は国家プロジェクトであり経団連の中西宏明会長とよく相談していくと述べた。
 尾崎会頭は望んだ結果となりホッとしていると心情を明かすとともに、「政府・自治体・経済界が一丸となって誘致活動に取り組んだから勝利することができた。ほかの分野でも力をあわせていけばよい」と述べた。また、「大阪商工会議所は、AIやICT、ロボットなどの最新テクノロジーを活用した実証実験に力を入れている。日本中あるいは世界から大企業だけでなく、ベンチャーや若者からもアイデアを集め、今からその実証実験を繰り返し、集大成の場として2025年万博を迎えることができれば、テーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』を実現することができる」と抱負を語った。


会頭コメント
2025年国際博覧会の誘致実現について 

 BIE(博覧会国際事務局)総会において、2025年国際博覧会の開催国が日本に決定し、万感胸に迫る思いである。と同時に、開催国に選ばれ、博覧会を成功に導かなければならない重責を、強く感じている。
 今回の誘致獲得は、大阪・関西はもとより全国の皆様の応援を力に、国、自治体、経済界が一体となって誘致活動を積み重ねてきた成果である。また、文化交流や支援活動、ビジネス等において、これまで諸外国と築いてきた日本への信頼や信用も、大きな後押しとなった。誘致活動をサポートいただいた全国の皆様、諸外国との絆を作られた皆様に、本当に心より感謝申し上げる。
 2025年万博では、未来社会の主役である若い世代が中心となり、グローバルな社会課題へのソリューションを世界に発信し、未来への希望や期待の感じられる万博を目指したい。開催まで6年余りの期間、大阪・関西におけるイノベーション創出・ビジネス交流をより一層加速させ、2025年に究極の「未来社会の実験場」に成長した大阪の姿を、国内外に示していきたい。
(11月24日)


マクロミクロ ――― 意外な共通点

 12月、待ち遠しい季節がやってきた。どのスポーツについても言えることだがスキーの世界でも、道具の進化は著しい。扱いやすくなっただけでなく、技術レベルや目的に応じて好きな道具を選べるようになった。スキーは高い場所から低い場所へ移動するスポーツ、言葉にすれば簡単だが奥は深い▼道具が進化しても自然が相手なのでいつも気持ちよく滑らせてくれるとは限らない。急斜面や不整地、スキー場ではよく遭遇する環境、これらの斜面ではターン前半からしっかり板を動かすことが大切。ターン前半で方向づけをし、場合によっては強めの抵抗をかけるなどターン後半に余裕を持たせたい▼仕事においても同じことが、急速な技術革新により、業務内容だけでなく働き方そのものが変わってしまった。使える手段は増えたが、どの環境でどの手段を使うかの選択も重要になってきた▼困難な仕事や初めての取り組みに対しては、早めの準備と段取りが欠かせない、不足の事態が生じても立て直しがきくし次の一手を打ちやすい。分かってはいても年々体がついて行かない。気がつけばシニア券を使える年齢になっていた。(K)


第3回大阪サクヤヒメ表彰記念フォーラム

 大阪商工会議所は来年2月6日、「第3回大阪サクヤヒメ表彰記念フォーラム」を開く。
 日経BP総研の麓幸子フェロー(日経ウーマン元編集長)が、「『女性活躍』がなぜ企業の成長に結びつくのか〜そのメリットと推進のポイント」と題し、基調講演を行う。パネル討論では、第3回大阪サクヤヒメ表彰の受賞者が登壇する。午後1時30分〜4時、大阪商工信用金庫新本店ビル・商工信金ホール(大阪市中央区)。無料。定員100人。事前申込制。
【問合せ】研修担当TEL6944・6421


講演会
「五代友厚と堂島米市場 〜堂島米市場の繁栄から大阪経済の近代化をひもとく〜」

 大阪企業家ミュージアムと大阪取引所は来年2月7日、江戸時代に世界初の先物市場として大阪に設立された「堂島米市場」と大阪経済の近代化をけん引した五代友厚にスポットをあてた講演会「五代友厚と堂島米市場 〜堂島米市場の繁栄から大阪経済の近代化をひもとく〜」を開く。
 講師は、今年、「大坂堂島米市場〜江戸幕府vs市場経済」を著し、躍動する市場経済と統制に動く江戸幕府との格闘の歴史を描いた神戸大学経済経営研究所の高槻泰郎准教授。午後3時〜4時30分、大阪企業家ミュージアム(大阪市中央区)で。無料。定員40人。事前申込制。
【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


大阪ガス、タブチ、日立造船
実証フィールド提供へ

 大阪商工会議所が大阪府、大阪市とともに構成する「実証事業検討チーム」は今年7月から、「企業間連携による実証事業支援」を開始しており、このほど、自社の保有する施設、スペース、データなどを実証のためのフィールドに提供する賛同企業の第1弾として、大阪ガス、タブチ、日立造船の3社が参画することになった。

 「企業間連携による実証事業支援」は、IoTやロボットテクノロジー、人工知能(AI)などの先端技術を活用したビジネス創出に向けて実証事業を実施したい企業と、その実証に適した施設、スペース、データなどを保有する企業との連携を支援するもの。
 同チームは、これまで実証事業を希望する事業者からの提案を一元的に受け付け、大阪府・大阪市の関連施設や公共空間などをフィールドとして提供してきたが、より幅広い実証ニーズに対応するため、「企業間連携による実証事業支援」を始めた。まず、大商の役員・議員企業にフィールド提供を依頼したところ、このほど大阪ガス、タブチ、日立造船の3社から賛同を得た。なお、賛同企業や実証事業の希望事業者は随時募集している。
詳細は、ホームページ(https://www.osaka.cci.or.jp/innovation/social_demonstration/osaka.html)に掲載。同チームは今後も、先端技術を活用した実証事業の円滑・効果的な実施を支援し、大阪における新たなビジネス創出に取り組んでいく。
【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


シリコンバレー人脈中心に
相互交流の場 創設

 大阪商工会議所と大阪工業大学が設置・運営する都心型オープンイノベーション拠点「Xport」(クロスポート)はこのほど、米国シリコンバレーの駐在経験者を中心に、大阪・関西で新規事業開発を目指す人たちが相互交流できる場(コミュニティ)として会員制の「シリコンバレー流☆創発コミュニティ」を設けた。
 このほど新設したコミュニティは、今年6月までシリコンバレーに駐在していたXportメンターの足立崇彰氏(パナソニック・イノベーション戦略企画部主幹)を中心に、関西在住シリコンバレー駐在経験者が発起人として参画。新規事業の開発担当者から参加を募り、発起人との意見交換を通じて新たな価値の創造(創発)を目指す。
 第1回会合は5日で、今後も定期的に開く。随時、入会企業を募集。詳細はホームページ(http://xport.osaka.jp/)に掲載。
 ▼Xport:大企業、中堅・中小企業、スタートアップ、社会人、学生などの多様な主体がオープンイノベーションを通じて課題解決、新規事業創出を行うためのマッチング支援、産業人材の育成などのプログラムを実施する拠点。
【問合せ】Xport事務局TEL080・8927・6383


自治体と産業界の連携強化へ
京阪神の3商議所 ライフサイエンス振興懇

 「京阪神三商工会議所ライフサイエンス振興懇談会」が11月22日、大阪商工会議所で開かれた。これは京阪神三商議所のライフサイエンス分野担当の会頭・副会頭で構成され、関西のライフサイエンス産業振興のために定期的に開いており、今回で7回目。大商からは手代木功副会頭が参加した。

 懇談会ではまず、各自治体が進めるライフサイエンス振興事業の最新情報を共有するとともに、三商議所が重視する医薬品医療機器総合機構(PMDA)関西支部の取り組みと現状が紹介された。
 その後、5月に発表し三商議所が推進する「ウエルネス産業振興構想」のさらなる進展に向け、京阪神の自治体の先行事例も共有しつつ議論した。具体的には、神戸市が進めるSIB(ソーシャルインベストメントボンド)活用事業や、大阪府が進める「健康づくり支援プラットフォーム整備等事業」などが発表された。こうした自治体の取り組みでも、企業の参画が期待される点は多く、今後ウエルネス産業振興関連事業の推進にあたり自治体と産業界の連携を強化することとなった。
 また、10月5日に建議した「関西圏におけるライフサイエンス産業振興にかかる要望」の陳情結果も報告された。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


医療機器企業への売り込み商談会
参加を募集

 大阪商工会議所は近畿経済産業局と共催で、来年2月5日、大商で「第11回医療機器企業への売り込み商談会(部素材・技術編)」を開く。これは、医療機器分野への参入を目指すものづくり企業(売り手企業)が持つ高い技術と、部素材・技術ニーズを持つ医療機器メーカー(買い手企業)のマッチングを目的とするBtoB商談会。11月に開いた「製品・試作品編」に続いて今年度は2回目となる。
 まず、買い手企業が商談を希望する医療機器の部素材・技術の内容を事前に案内する。売り手企業はどの買い手企業と商談を希望するかなどを事前に事務局に連絡。買い手企業は売り手企業の情報をもとに、取引の可能性がある売り手企業を選び商談を実施する。
 大商の専門コーディネーターが売り手企業と事前に個別面談する(希望企業のみ)ことで、不慣れな医療機器ビジネスの商談に必要な条件や情報、自社の強みなどを明確にして商談に臨むことが可能。商談終了後には、買い手企業から売り手企業へ面談結果がフィードバックされ、必要に応じて大商がフォローアップする。
 売り手企業の申し込み受け付けは来年1月8日まで。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


リハビリ現場からニーズ
大阪医療センターを見学

 大阪商工会議所は11月19日、医療機器ビジネスの支援事業の一環として大阪医療センターで病院見学会を行った。これは大商と同センターが今年3月に結んだ連携協定に基づき実施したもので今回が2回目。
 今回はリハビリテーション室を見学し、手術後の歩行訓練や食事・入浴など日常動作のリハビリで使用する器具について医療職の方から説明を聞いた。意見交換では医療職の方から「瞬時に測れる血圧計」「ケガをしにくい車いす」など製品開発につながる現場ニーズも示された。参加者からは、「自社がリハビリの現場に貢献できる製品のイメージがつかめた」といった感想が寄せられた。次回は来年1月頃の予定。
【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


大商創立140周年 感謝のメッセージ掲出

 大阪商工会議所は創立140周年を記念して、11月19〜25日、広く「感謝」の気持ちを伝えるメッセージ広告を掲出した。大阪・梅田、なんば、阿部野橋など大阪市内の主要ターミナルの7カ所のデジタルサイネージに、大阪の皆様への感謝のメッセージと五代友厚初代会頭の言葉を掲出。大商創立の精神に立ち返り、その意思を未来へつなぐメッセージを伝えた。
 大商は1878年8月に設立され、今年140周年を迎えた。
【問合せ】会員組織担当TEL6944・6990


なにわなんでも大阪検定 第10回に2592人合格
テーマは「大阪の万博」

 大阪商工会議所は10月21日、「大阪の万博」をテーマに実施した第10回「なにわなんでも大阪検定」の試験結果を発表した。
 受験者数は3011人で、2592人が合格した。上級試験は847人が挑み1級に49人、準1級に21人、2級に387人が合格。初級試験には2164人が受験、1609人が3級に合格、526人が4級に合格した。
 また、初級試験では7歳(小学2年生)が4級に合格し大阪検定の最年少合格記録を更新したほか、19歳以下の合格者が前回を31人上回る100人となるなど、若年層の合格者が増えてきている。
 今回の試験で、1級に通算5回合格の「大阪の超人」が1人、1級に通算3回合格の「大阪の達人」が11人、過去の試験で累計1000点を獲得の「大阪の鉄人」が5人誕生した。
【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


ポスター展の全集発刊
人気投票結果も発表

 大阪商工会議所都市活性化委員会(委員長=錢高一善・錢高組会長)はこのほど、「大阪検定ポスター展2018全集」を発刊した。同冊子には、大阪検定ポスター展2018に協力した大阪の鉄道会社10社(JR西日本、Osaka Metro、近鉄、南海、京阪、阪急、阪堺、阪神、大阪モノレール、北急)の各駅に掲出した1駅1枚のユニークなイラストポスター全80枚を掲載。旭屋書店、紀伊國屋書店、丸善ジュンク堂書店の一部店舗とECサイト「検定、受け付けてます本店」(https://shop.kentei-uketsuke.com/)で販売している。価格は926円(税別)。
 なお、大阪検定ポスター展2018では、新たな取り組みとして、鉄道会社10社がそれぞれ1枚ずつ選んだ計10枚のポスターを対象にした人気投票をウェブで実施。投票期間(8月17日〜10月20日)に1764票の投票があった。その結果、1位が大阪モノレール「万博記念公園駅」、2位が阪堺「阿倍野駅」、3位が阪神「西九条駅」となった。
 ポスター展人気投票の結果はホームページ(https://www.osaka-kentei.jp/poster/poster2018/touhyo/)に掲載している。
【問合せ】地域振興部TEL6944・6323


地域に密着 ――― 支部の活動

◆新規顧客開拓と商談・プレゼン成功の秘訣※ 
▼中央支部=来年1月15日午後2〜4時、大商
▼北支部=同22日午後2〜4時、同支部
▼北支部=同29日午後2〜4時、淀川工業会
▼南支部=同2月5日午後2〜4時、同支部
▼西支部=同19日午後6時30分〜8時30分、大阪トヨペットビル
▼東支部=同26日午後2〜4時、ニッセイ京橋ビルで。
会員無料、一般5000円。アイランド・ブレインの鈴木徹社長が新規顧客開拓の仕組みづくりや商談・プレゼンを成功させるヒアリングのポイントについて解説する。
◎経営相談室TEL6944・6451

◆売上につながるネット集客の仕組み※ 
▼東支部=来年1月17日午後2〜4時、ニッセイ京橋ビル
▼中央支部=同24日午後2〜4時、大商
▼北支部=同2月6日午後2〜4時、同支部
▼北支部=同19日午後2〜4時、淀川工業会
▼南支部=同26日午後6時30分〜8時30分、同支部
▼西支部=同3月6日午後2〜4時、大阪トヨペットビルで。
会員無料、一般5000円。エムアイティエスの水谷哲也代表が、SNSを活用してホームページのアクセスを増やし、集客力を強化する方法を解説する。
◎経営相談室TEL6944・6451
※印は大阪府の補助金を受けて実施。


数字に強い人材を育てる
第24回ビジネス会計検定試験 年末から申し込み開始

 大阪商工会議所は、財務諸表に示された会計情報を理解・分析し、企業の経営実態を正しく把握するための「ビジネス会計検定試験(財務諸表理解力検定)」を実施している。ビジネスの現場では、経理など会計を専門とする部門以外でも財務諸表を読み解く力が求められ、同検定試験の学習を通したスキルアップを奨励する企業も増えている。今回は、企業会計の実務に詳しい公認会計士・税理士の篠藤敦子氏にインタビューした。




数字を正しくとらえ財務状況を把握 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 氏

 公認会計士・税理士の篠藤敦子氏に、ビジネス会計検定試験の活用法や勉強法について聞いた。篠藤氏は、「ビジネス会計の勉強は、簿記の知識がなくても始められます。会社にいるかぎり、経理以外の部門で働く人も数字を読む力は必要です。検定試験合格を目標にビジネス会計の勉強に取り組んでいただきたい」と話した。

 ――ビジネス会計検定試験の受験者が増えています。
 「ビジネス会計検定試験は、できあがった財務諸表を見る試験なので、会計の初心者も取り組みやすいでしょう。簿記の場合は『仕訳』が必要で、この仕訳に苦手意識を持つ方が多いため、そこから会計に進む人が少なくなりがちです。一方、ビジネス会計は簿記の知識がなくても財務諸表を見る勉強ができるので、会計に興味を持つ層を広げた試験だといえます」
 ――経理以外の部門でも数字を読む力が求められているようです。
 「会社にいるかぎり、どの部門でも数字を読む力は必要です。例えば、メーカーの営業担当者から『適正な価格を提示できないと、営業ができない。原価計算について教えてほしい』と依頼を受けたこともあります。私も財務諸表を作ることを専門業務としない部門の方、例えば、銀行の融資担当者や官公庁職員などに研修をする機会が増えてきました」
 ――財務諸表を見るとき、どんな視点が必要ですか。
 「『売上』と『当期純利益』、『貸借対照表が債務超過になっていないか』の3点だけを見る人が多いですが、これでは不十分です。損益計算書は『営業利益』『経常利益』など5段階で利益を表しています。それぞれの意味を考えながら見ると情報量が変わってきます。貸借対照表も各資産や負債・純資産の数字が表す意味が分かると企業の状況への理解が深まります」
 「『売上原価』は、売った商品を仕入れるのにかかった金額ですが、1年間に仕入れた商品の金額だと誤解されている方もいます。貸借対照表の『土地』は購入したときの価格で表示するのが原則であるため、現在の価格を考えることも必要です。会社は黒字でも倒産することがあるので、『利益』と『資金』の違いを理解することも大切です」
 ――とりわけ中小企業では、どう活用できますか。
 「借り入れを受けようとするとき、中小企業では銀行などに対しての自社の財務諸表の説明を顧問税理士に任せることが多いようですが、こうした説明を社員でできると、企業としての評価も高まります。『流動』と『固定』の区分などのルールを理解して評価の高い財務諸表を作成するには簿記の力だけでなく、ビジネス会計の能力が必要です」
 ――ビジネス会計の学習はどう進めるといいですか。
 「公式テキストをしっかり勉強したうえで、過去問題に取り組むのが合格への近道です。簿記の知識がない場合、最初は苦労するかもしれませんが、テキストの解説は丁寧なので、慣れれば自分の力で学習を進めることは可能です」
 「3級なら銀行などに自社の財務諸表の説明ができるようになります。2級では財務諸表を分析する力が養われ、他社との比較もできるようになるので、ぜひ2級まで取得していただきたいです」





社長! チャンスです! 会計で仕事がもっとうまくいく

 「わが社の損益分岐点はどこにあるのか」「設備投資と収入のバランスはよいか」「値下げに応じても大丈夫か」「支払期日は適正か」など、ビジネスの現場では会計知識・センスが求められています。
 数字の裏付けがないまま無理な投資をしてしまう、安易に値下げに応じてしまい、売っても売っても利益が出ない、決算書では利益が出ているのに現金がない──。
 正しい会計知識がないばかりに、知らず知らずのうちに会社は大きな損失を被っているかもしれません。
 ついつい後回しになりがちな会計知識の習得。知識が曖昧なまま、仕事に取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。
 「うちの従業員は会計なんて知らんけど、仕事はうまくいっとるで」という社長様、チャンスです! 会計を正しく理解すれば、もっと仕事がうまくいくはずです。
 会社に利益を残すために、財務諸表に関する知識や分析手法をレベルに応じて体系的に学ぶことができる「ビジネス会計検定試験」をご活用下さい。



社会人必須の知識に 受験者は10年で2.3倍

 近年、様々なビジネスシーンで財務諸表を理解する能力が求められている。一見、専門用語と数字の羅列に見える財務諸表も数値の表す意味やポイントを理解すれば、様々な企業情報を読み取ることができる。

■財務諸表を読み取る力
 取引先の財務諸表から経営状況を把握していれば、突然の倒産や掛け売り・債権の未回収に伴うリスクを予測することができる。自社の財務諸表を読めば、経営課題や将来性などを知ることができる。

■職種を問わず人気
 財務諸表を読み取る能力は経理担当者だけではなく、むしろ一般のビジネスパーソンの常識として要求されるようになってきた。ビジネス会計検定試験は、財務諸表を読み取り、分析する力を問うもので、「財務諸表を作成する力」を測る簿記検定とは相互補完の関係にある。
 昨年度のビジネス会計検定試験の申込者数は、1万3736人とこの10年で約2.3倍に急増している。
 最近は、新入社員研修の一環として、入社3年目までに3級に合格することを課したり、人事考課の評価項目(昇格要件)の一つとして、導入する企業が増加。
 受験者からは「仕事で役立つ会計の知識を基礎から体系的に学ぶことができた」との声が寄せられている。会計の知識は、英語や法律知識とともに社会人必須の知識となってきた。同検定試験を通じて、数字に強い人材の育成を。




優良商工従業員279人を表彰
真摯な努力と社業への貢献たたえる

 大阪商工会議所の優良商工従業員表彰式典が11月16日、大商・国際会議ホールで盛大に執り行われた。
 同事業は、会員企業・団体で業績向上に貢献した従業員の労に報いるとともに、一層の士気向上と組織活性化を図る目的で1970年に開始されたもの。表彰は、満25年以上勤務し、業績向上に貢献された従業員を表彰する「永年勤続優良従業員表彰」、満10年以上勤続する従業員を表彰する「中堅優良従業員表彰」、満3年以上勤務し、前年度に社内で最も高い評価を受けた従業員を表彰する「年度最優秀従業員表彰」の3種類。制度創設以来の被表彰者数は2万218人に上る。
 表彰式では、大商の尾崎裕会頭が式辞を述べ、長年にわたる真摯な努力と社業発展への大いなる貢献に敬意を表した。さらに「企業・職場における模範として、引き続き業務に精励され、ますますのご活躍を期待する」と激励した。
 続いて、大商の長谷川惠一・人材育成委員長(エール学園理事長)から審査経過に関する報告があり、永年勤続145人、中堅優良71人、年度最優秀63人の計279人が栄えある表彰を受けた。
 最後に、表彰者を代表して、日本電通の山本將仁氏が、「持てる力を十二分に発揮し、より一層、社業の発展はもとより、社会の貢献に尽くしたい」と謝辞を述べ、式典を締めくくった。
【問合せ】研修担当TEL6944・6421


ファッションのものづくり発信
イノベーション展 産学コラボ企画が好評

 大阪ファッション産業振興フォーラム(斑目寿明・大阪商工会議所繊維部会長)は、産学連携による商品開発や企業展示などでファッションのものづくりを発信する「ファッション・イノベーション展」を11月28日、オーガニックスペース(大阪市中央区)で開催し、延べ428人が来場した。
 新たに取り組んだ産学連携企画では、在阪4校のファッション専門学校生が帝人フロンティア、旭化成アドバンス、カネカの3社から提供された生地を活用し、その素材特性を生かして、販売を念頭においた商品を制作。在阪7社の工場・メーカーが縫製に協力し、ファッション企画会社監修を受けて商品の完成度を高めた。来場した百貨店バイヤーやアパレル企業に向けて学生自らが商品を手にプレゼンテーションした。早速生産の依頼を受ける商品もあり、全体的に高い評価を得た。
 企業展示では、関西ファッション連合の関連企業をはじめ、大阪・関西の繊維産業の強みを生かした企業やブランドが参加し、幅広い層の関心を集めた。特別講演ではスタイラーの小関翼代表取締役が次世代の電子商取引(EC)やアジアの流通業界の事例を紹介したほか、専門家による業界向けのトレンドセミナーも開かれた。
【問合せ】経営支援担当TEL6944・6493


大阪発デザイン性高い商品
百貨店での販売に手応え

 大阪商工会議所は11月21〜27日、「第3回大阪クリエイトフェア」をあべのハルカス近鉄本店(大阪市阿倍野区)で開催した。これはデザイン性の高い大阪発のリビング製品や服飾雑貨を一般消費者向けに販売することで、大阪らしいライフスタイルを発信し、創造力にあふれデザイン力の高い関連事業者の販路開拓、企業成長を支援するもの。今回は、応募総数全49社から審査で選ばれた、在阪の生活雑貨製造業者・卸売業者・小売業者、大阪にゆかりのあるメーカーやプロダクトデザイナーなどが企画・製造に携わる26社が出品。
 期間中多くの人が訪れ、商品のデザインや作り手の思いに驚きつつ、買い物を楽しんだ。出品者からは、「販売店舗がないため、消費者から直接話を聞ける貴重な機会となった。今後の商品企画に生かしていきたい」「百貨店での販売を通して、社員の士気向上や教育ができた」「工房に訪れたいという声をいただいた。今後の購買にもつながりそうだ」といった感想が寄せられた。
【問合せ】経営支援担当TEL6944・6493


大手バイヤーと商談会
売り手側758社参加

 大阪商工会議所は11月15日、「第22回買いまっせ!売れ筋商品発掘市」を大阪府立体育会館(大阪市浪速区)で開催した。
 同事業は、大手流通業・海外企業などが買い手企業としてブースを構え、中小製造業・卸売業が訪問する「売り込み型」の商談会。同形式の商談会としては日本最大級を誇る。
 今年の買い手企業社数は過去最多となる77社で、全国の大手百貨店、スーパー、通販、アセアン地域を中心とした海外企業などのバイヤー約300人が商談に応じた。空港免税店や海外の百貨店、国内の他地域有力ホームセンター・通販など、同商談会にバイヤーが初参加する企業も11社あり、いずれのブースも人気を博した。バイヤーからは「ふだん接点のない企業の魅力を知ることができて有意義である」といった感想が寄せられた。
 一方、売り手企業は、全国44都道府県から758社1213人が参加。
参加企業からは、「1日で多くの有力バイヤーと連絡先を交換できた」「バイヤーと直接、話ができて非常に良い経験になった」などの感想が多数寄せられた。当日の商談総数は5862件に上った。
【問合せ】流通担当TEL6944・6440


資金の借り入れ「6割超が十分」
消費増税で資金需要増の声も

 大阪商工会議所はこのほど、「中小企業の資金調達に関する調査」結果を発表した。この調査は11月8〜26日、会員の中小企業2789社を対象に実施。307社が回答した。
 「自社の資金繰り」は、6割超(61.9%)の企業が「現時点で借り入れが必要な資金は、十分借り入れられている」と回答。資金を3カ月以内に借り入れる目途がつかない企業の割合は昨年度の31.1%からやや増加し、今年度は36.8%だった。資金需要の背景にある経営環境の変化は、「設備や研究開発、販路開拓など前向きな投資の必要性」(32.4%)が最多となった一方、「人手不足の影響」(32.0%)や「燃料、原材料高」(22.7%)を挙げる企業が多かった。
 来年10月の消費増税に伴う資金需要については、「増加する」が26.4%。資金需要の中身は、「消費増税後の需要減退(売り上げ減少)への備え」「消費税の納税資金の増加」がともに半数超(50.6%)で最多となった。
 詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/index2-08.html)に掲載している。
【問合せ】経済担当TEL6944・6304


パナソニック創設100周年
幸之助氏をテーマに講演会

 大阪企業家ミュージアムは来年2月20日、講演会「松下幸之助の目指したもの 〜A Better Life, A Better World〜」を開く。
 松下幸之助氏が大阪の大開町(現在の福島区大開)に「松下電気器具製作所」を創設して100年を迎えたパナソニック。1929年に制定された「綱領・信条」は、「よりよいくらしと、よりよい社会をつくる。」という現在の同社の決意につながっている。
 講演会では、今なお「経営の神様」と称される、松下幸之助氏が目指してきたもの、築いてきたものについて紹介する。講師は同社の歴史文化コミュニケーション室企画課の中西雅子課長。午後3時30分〜5時、大阪企業家ミュージアム(大阪市中央区)で。参加費は入館料(会員200円、一般300円)のみ。事前申込制。定員80人。
【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


情報セキュリティ対策の最新情報 来年1月、講演会

 大阪商工会議所西支部(支部長=西川典男・丸十服装顧問)は来年1月24日、経済講演会「情報セキュリティ対策―最新事情〜ますます巧妙になる犯罪の被害者にならないために」を開く。
 情報セキュリティ犯罪の手口や対策、そうした犯罪や事件に遭遇しないためのノウハウをNPO法人ヒューリット経営研究所の藤岡秀和理事が解説する。午後2〜4時、大阪トヨペットビル(大阪市西区)で。無料。定員30人。事前申込制。大阪府の補助金を受けて実施。
【問合せ】西支部TEL6539・1666


心と体の健康管理セミナー 来年2月20日

 大阪商工会議所北支部(支部長=寺内俊太郎・大阪冶金興業社長)は来年2月20日、経済講演会「経営者と従業員のための心と体の健康管理セミナー」を開く。
 グランソール奈良の前田尚宏氏が「がん免疫細胞治療」について解説。午後2〜4時、大阪産業大学梅田サテライトキャンパス(大阪市北区)で。無料。定員80人。事前申込制。大阪府の補助金を受けて実施。
【問合せ】北支部TEL6130・5112


有休義務化への対応を
人事労務・メンタルヘルス対策相談

 国の推進する働き方改革の一環として、来年4月からすべての企業において、年次有給休暇の時季指定が義務化される。
 使用者は、年間10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年間5日は時季を指定し取得させることが必要となる。
 大阪商工会議所の「人事労務・メンタルヘルス対策」専門相談窓口では、専任の社会保険労務士が、時季指定義務の概要を説明するとともに、業種や規模、雇用形態、年次有給休暇取得状況など、個々の企業の実情に合った対応策をアドバイスする。
 相談無料。大阪府内の中小企業の経営者や人事労務担当者が対象。月〜金曜日(休館日を除く)午前9時〜正午。面談・電話とも可。予約優先。
【問合せ】経営相談室TEL6944・6472


容器包装リサイクル法
再商品化委託の申し込み受け付け開始

 大阪商工会議所は、日本容器包装リサイクル協会の委託を受け、12月10日から容器包装のリサイクルに関する相談と平成31年度再商品化委託申し込みの受け付けを行う。
 容器包装リサイクル法により、家庭から排出される容器包装廃棄物について、(1)「容器」「包装」を利用して中身を販売する事業者(2)「容器」を製造する事業者(3)「容器」および「容器」「包装」がついた商品を輸入し販売する事業者は、「特定事業者」として再商品化が義務付けられている(一定規模以下の事業者を除く)。再商品化の委託申し込み受け付けは来年2月8日まで。申し込みはお早めに。
 また、「容器包装リサイクル制度説明会」を12月21日午後2時〜4時30分、大商で開く。無料。定員140人。事前申込制。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201810/D13181221010.html)に掲載。
【問合せ】経営相談室TEL6944・6472


経営課題の解決に
課題別の専門家派遣事業を実施

 大阪商工会議所は、大阪府内の中小企業を対象に、様々な経営課題の解決を支援するため、課題別の専門家を無料で派遣する「専門家派遣事業」を実施している。
 「事業計画作成」「営業力強化」「新製品開発」「生産ライン改善」「ネット販売」「ホームページを活用したマーケティング推進」「給与・人事制度見直し」「販売促進」「コストダウン」など、社内で解決できない問題や何から手をつければいいか迷う事柄について、専門家の意見を聞いてみませんか。
 大商の経営指導員が経営課題や相談内容に応じた適切な専門家を提案・選定し、派遣する。ぜひ専門家派遣事業のご利用を。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/Jigyou/s-haken/)に掲載。
【問合せ】経営相談室TEL6944・6473


竹内謙礼氏セミナー 来年のビジネス予測 来年2月1日

 大阪商工会議所は来年2月1日、毎年好評の「2019年商売繁盛のためのビジネスキーワードセミナー」を開く。
 経営コンサルタントの竹内謙礼氏が、来年のビジネスを予測し、経営に役立つ最新情報を惜しみなく伝える内容。特に来年は、元号改正や10連休、消費増税など特別な予定が多い。「売り上げを落とさず、ビジネスチャンスに変える方法」「人材不足解消のための求人のコツ」「ネット通販、SEO、SNSの最新情報」など幅広い内容を分かりやすく伝える。
 午後2〜4時、大阪産業創造館(大阪市中央区)で。受講料は会員3000円、一般6000円。申し込みは、大商ホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201811/D41190201013.html)から。
【問合せ】経営情報センターTEL6944・6353


プライムリゾート賢島
ゴールデンウイーク予約受け付け開始 来年1月1日から

 大阪商工会議所は福利厚生支援メニューとして、会員限定で「宿泊優待サービス」を実施している。このほど、提携施設「海辺ホテル プライムリゾート賢島」のゴールデンウイーク期間(来年4月27日〜5月5日)の予約をホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/yu-hotel/)で受け付ける。
 申し込みは1会員1回とし、抽選結果を電話連絡する。第1抽選申し込みは来年1月1〜20日、第2抽選申し込みは同1月21日〜2月20日。
 3月1日以降は同ホームページまたは電話で受け付ける。上記期間以外の予約は随時受け付けている。
 なお、同ホテルは来年4月1日にホテル名が「都リゾート志摩ベイサイドテラス」に変わる。
【問合せ】会員組織担当TEL6944・6570


◆年末年始の休館

 大阪商工会議所(支部を含む)は、12月29日〜1月3日、休館します。
 大阪企業家ミュージアムは、12月27日〜1月4日、休館します。


2018.12.10
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